火災時に発生する煙を電場により制御するためには、火災時に発生する煙の特性を把握する必要があるため、H29年度はマクロ的な視点から火災時に発生する煙粒子の大きさや粒度分布および帯電量に影響を与える因子に着目し、燃焼により発生する煙粒子の特性(粒径分布、荷電分布、粒子重量等)の把握を目的として種々の燃焼条件および可燃物材料に対して実験を行った。この結果、種々の実験条件における煙の粒径・個数や荷電量が得られた。しかしながら、加熱条件の差違により、特に煙の粒径・個数に影響があることが確認されたため、H30年度の前半に追加で実験を実施した。 さらに排煙効率や煙を侵入させたくない室の遮煙性能の向上等、実大規模の煙制御に向け、縮小模型による電場による煙粒子の挙動を測定する目的で、模型区画を用いて電場による荷電粒子の挙動把握実験を行った。この実験において、当初は人工的に帯電させた微粒子を用いることにしていたが、前述の通り、種々の燃焼条件および可燃物に対する煙粒子特性を把握できたことから、実燃焼により生成される煙粒子に対して、平板電極間を様々な条件で設置および制御し、煙粒子の挙動を把握した。とりわけ電場の条件については、平板電極間の電圧、平板電極間の距離・形状(メッシュ)に関してパラメータとし、諸条件の実験を実施した。煙特性把握実験にて得られた煙粒子の特性(粒子径・個数、帯電量)に対し、特に煙粒子を電場により制御し、誘導(煙の流れ方向を変える)および停滞(煙の拡散の抑制)について挙動を明らかにした。
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