研究課題/領域番号 |
17K18942
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山川 宏 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (00097263)
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研究分担者 |
宮下 朋之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20329080)
Parque Victor 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (50745221)
勝又 暢久 室蘭工業大学, 工学研究科, 助教 (60534948)
鳥阪 綾子 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (70449338)
三浦 智 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (70724566)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 粉体成型 / 宇宙構造物 |
研究実績の概要 |
平成29年度は研究分担者と連携し以下の事項を実施した。 (1)噴射機構を構築した。噴射ノズルおよび導電性噴射剤による成形後の線材および噴射剤の機械的性質を確認した.寸法が異なる噴射ノズルを購入し,大気圧環境下にて噴射実験を実施し,成形後の線材の機械的性質を確認した.噴射した線材の成型および保持のために,必要となる保持構造を構築した.衛星寸法を意識し小型の歯車にて歯面中央部を線材が通過する機構を構築した.下方に噴射した際の破断の有無,変形を高速度カメラで記録し測定した. (2)小型の炭酸ガスボンベおよび電磁弁を使用し,噴射機構の制御回路を作成した.真空環境で稼働できるように電子素子を選定し使用した.真空チャンバにデータ伝送のためのカップリングを設置する手間を省くため,無線LANを使用したデータ伝送を可能とした. (3)試験環境(真空チャンバ)を準備として、約2.5[m]程度の長尺の真空チャンバを制作した.この際,格納する噴射ノズルおよびその制御回路を収納可能とし,噴射に伴う力学的情報を取得する力センサも収納可能とした.(1)と同様に,下方に噴射した際の破断の有無,ひずみを高速度カメラで記録し測定した.(2)で製作する電気回路の真空環境における設置や稼働を確認した。すなわち、気密性の確認,真空環境の特性維持などの基本特性を計測した. 次年度に計画している実験で想定する環境や用意する粉体などの試験条件を決定し、開発を予定しているシミュレータの仕様を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
真空環境における噴射機構の構築のため、導電性確保する材料選定及びを実施している。ここでは、粉体と混合する溶剤により粘度などが決定される。導電性を確保するためには、導体粉を混合するが、少ないと導電性が確保されず、注射器を改良し、押し出しに必要となる荷重と成型された材料の特性を測定する作業を繰り返し実施している。導電性が確保できる材料構成及び押し出し荷重との関係を把握することができた。射出の制御については電磁弁を使用しarduinoおよびXBEEによる無線環境における情報交換を実現するための環境を構築している。長尺の真空チャンバを設計・制作している。ここでは、伸展を可能とする円筒部と計測を中心に実施する観測(矩形)部に分けて実現している。また、来年度に向けた本研究の実現性を再度に確認するために下記の検討を実施している。真直な導電性テザーを材料からの成形を実現するための制御因子として,ノズル形状や噴射圧力が存在している一方として,充足すべき条件として,全長400[m]ものテザーを破断を生じさせずに成形することが必要となる.さらに,先端部には電子放出機構として,一定の質量を付与され,テザーの伸展が求められる.このため,質量の慣性力,ノズル設置部(衛星本体)の慣性力,地球からの重力および低軌道における希薄大気からの力学的作用の存在が考えられる.これらの影響および伸展開始から伸展終了までのテザーの力学的特性に適合するように伸展制御を実現する必要がある.制御パラメータは噴出圧力および保持歯車の回転速度となる.テザーの伸展の課題を明確にすることになり,伸展が実現できないような場合には,ノズル形状の可変性や伸展テザーのテンショナーの設置などの可能性があり検討することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度の進捗状況に述べた検討点を踏まえ、各種の実験を実施し、シミュレータを開発し、机上設計環境を整備していく。大気中実験として、線材を造形し,送り機構と組み合わせた状態での基本動作を確認する.確認により次の状態が確認できれば,真空環境実験に進む.真空環境実験では、大気中実験と同様の手順にて試験を実施する.可動部を使用するため潤滑環境についても注意し,一定の真空環境下に置いた後の可動の可否や連続可動の可否などの試験の実施を計画する.微小重力環境実験(伸展距離試験)として、航空機実験を計画する.すなわち,航空機内に装置を設置し,約15秒間に実現される微小重力空間に,テザーを伸展させる実験を計画する.紛体成形品の進展距離を大きくすることが必要となる場合には加えて,水中環境においての実験を計画する.テザー挙動予測シミュレータの開発を予定する。すなわち、前年度に製作した装置およびその個別テストより得られたテザーの特性や挙動および上記(1)で記した大気中・真空環境・微小重力環境における伸展試験の結果に適合性を有するシミュレータを開発する.テザー端点に比較的に大きな質量を有した軽量なテザーが質量移動を伴い伸展する挙動を宇宙軌道上や計画する実験環境における外力作用および境界条件を想定した運動方程式を立式し解を得る.テザー中間・端点の姿勢(変位),内力,衛星挙動を予測可能とする.小型の人工衛星を計画し,軌道上での実験の実施を視野に入れる.ただし計画の実行には別途予算措置が必要となり模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
粉体材料について、既存所有のものが想定より多く活用できたため、購入する必要がなかった。
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