研究実績の概要 |
本年度は,亜酸化窒素を推進剤として用いる超臨界スラスタの研究開発の一環として,(i) 自己分解を生じさせる触媒反応部, (ii) 液体亜酸化窒素をガス化させるためのヒーター, の要素試験及び性能評価を実施した.また,これらの試験を通じて亜酸化窒素の安全な取扱い手法を確立した. (i)については,ハニカム触媒及び粒状触媒 (いずれもロジウムを担持)の2種を使用した分解反応可視化試験を実施した.その結果,ハニカム触媒を使用した場合はガス亜酸化窒素との接触面積が小さすぎて分解反応を持続できないこと,粒状触媒を使用した場合は連続的な分解反応によりターゲットとなる分解後温度(>500℃)を達成できることが実験的に示された.粒状触媒を用いた試験で取得した分解反応開始位置及び過渡状態の特性は,次年度に行うシステム設計条件そのものである. (ii)については,銅管とニクロム線を組み合わせたヒーターサブシステムを構築し,取り扱いが用意な複数種類の高圧ガス(GN2, R600a, R116)を用いた温度上昇特性取得試験を実施した.この試験により,必要電力,温度上昇に対するヒーター長さの寄与,及び所望の温度上昇を得るためのレイノルズ数に対する制約に関する知見を得ることができた. これらは,本研究が掲げた「安全で・Ispが高く・連続噴射可能で・低コストな」亜酸化窒素超臨界スラスタシステムの構築実現に直接的に寄与する成果である.また,本研究で得られた成果は,学会で複数回発表し,当該分野において知見の共有を図った.
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