研究課題/領域番号 |
17K18947
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
谷口 綾子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80422195)
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研究分担者 |
森栗 茂一 大阪大学, COデザインセンター, 教授 (20188452)
森川 高行 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30166392)
井料 美帆 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80469858)
上出 寛子 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (90585960)
中尾 聡史 京都大学, 工学研究科, 研究員 (70828954)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 自動運転 / 社会的受容 / リスク認知 / 賛否意識 / 信頼 |
研究実績の概要 |
2018年度は,2016年度に東京と愛知県で実施したアンケート調査データ,2018年3月に英国で実施した調査データの日英比較分析を行った.日英両国とも,レベル3よりもレベル4の社会的実装に反対する人が多く,専門家の判断と一般市民の評価が異なることが示された.また,日本人よりも英国人の方が自動運転システム(AVs)に否定的であること,徒歩や自転車など様々なハザードに対するリスク認知が低いことが示された.一方で,AVsに対するリスク認知は未知性が高いことで一致していた.さらに,「技術への信頼」と「行政や企業などAVsを管理運営するであろう組織への信頼」が,AVsを使ってみようという行動意図や,AVsの社会的実装が実現した社会への賛否意識に影響していることが示された.日英比較結果については,2018年11月に開催された土木計画学研究発表会にて発表した. 英国でのWEBアンケート調査中に,米国で自動運転車が歩行者をはねた死亡事故が起こった.この事故前後のマスコミ報道の影響を,定量的に分析することとした.分析の結果,米国で起きた交通事故のマスコミ報道は,英国市民のAVsに対する意識にも影響しており,事故後にはAVsに対するリスク認知「恐ろしさ」が増大すること,技術への信頼は低下するものの,行政や組織への信頼は変化しなかったことなどが示された. また,国土交通省道路局の道の駅自動走行実証実験のモニターと近隣住民のアンケート調査データ分析を行い,ヒヤッとした経験や業績機関への信頼がAVsの賛否意識に影響を及ぼすことを明らかにした.モニターとそれ以外の近隣住民のAVsに対する態度は統計的に有意に異なっており,モニターとして参加する人はAVsにポジティブな態度を有していることが示された.この成果は2018年6月に開催された土木計画学研究発表会にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況については,先に述べたように,2018年度は,2016年度に東京と愛知県で実施したアンケート調査データ,2018年3月に英国で実施した調査データの日英比較分析を行った. 2018年11月末~12月にかけて日英と同様のWEBアンケート調査をドイツにて実施した.現在データのクリーニングを行い,日英独の比較分析を進めているところである. また,国土交通省道路局の道の駅自動走行実証実験のモニターと近隣住民のアンケート調査データ分析を行い,ヒヤッとした経験や業績機関への信頼がAVsの賛否意識に影響を及ぼすことを明らかにした. さらに過去に新規導入された交通モードとして,自動車と鉄道に着目し,その社会的受容の経緯を,新聞記事やテレビ番組の変遷から定性的にあぶり出す調査分析にも着手している.まずは「こども」と「くるま」に着目し,朝日新聞と読売新聞の1890年代からの新聞記事検索により,分析を進めているところである.
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今後の研究の推進方策 |
研究活動は順調に計画通り行っている.今後は,自動運転システムに関わる法制度の研究者とも連携し,社会的受容性を計測するとともに,AVsをソフトランディングさせるための方途について,定量的・定性的に調査分析を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が実施を予定していた高蔵寺ニュータウンでの交通行動調査が,翌年度に持ち越されたためです.
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