研究実績の概要 |
本研究の目的は離散最適化問題のモデルを推定し, そのモデルを離散事象システムに変換することで, モデル構造の抽出やモデル縮約を行って, 与えられた仕様を満たす妥当な最適化モデルを構築するための離散事象システム理論を用いたデータに基づく離散最適化技法を創成することである. 2021年度はデータに基づく離散最適化モデルの同定手法の開発を目的として, (i) 入出力データに基づく離散最適化問題の重み係数推定問題の化学プラントへの適用, (ii) 多目的スケジューリング問題における目的関数推定問題の定式化と解法の開発, (iii) 新しい進化メカニズムを用いた群最適化手法の開発の(i)~(iii)に関する研究を実施した. 得られた知見は以下である. 1. 化学プラントを対象とした大規模スケジューリング問題の実データを用いて機械学習手法と逆最適化手法による重み係数推定を行った結果,精度の良い推定結果が得られることを実データにより確認した. 2. トレードオフを有する多目的スケジューリング問題の選好解が与えられたとき,複数の目的関数候補から妥当な目的関数選択と重み係数を決定する目的関数推定問題を定式化し,解を効率よく得るためのアルゴリズムを開発した. 3. 進化ゲーム理論の考え方に基づく粒子群最適化アルゴリズムを開発し, ベンチマーク問題による検証を行って,提案したアルゴルズムの様々な問題に対する有効性を確認した.
|