本研究課題では,超スマート社会の実現に向け,クラウドリソースものづくりにより価値共創を可能とする革新的社会システムの構築を目指し,研究開発を進めた.そして本研究課題は,大きく1) クラウドリソースものづくりシステムの概念整理と具現化,システム試作とその特性解析,2) IoT環境を活用した提供者とユーザとの持続的な対話による価値共創の実現に向けたもの・コトづくりの実践とその有用性検証,という2つの研究項目からなる. 前年度は,以前に試作したクラウドリソースものづくりシステムを用いてさらにその特性解析を進めるとともに,IoT環境を活用した提供者とユーザとの持続的な対話による価値共創の実現に向けたもの・コトづくりの有用性についてシミュレーション実験を行い,特性評価に関する詳細分析と妥当性の検証を進めた.そして今年度は,前年度の研究内容を引き継ぐ形で,クラウドリソースものづくりのシミュレーション対象規模を拡大するとともに,時間スケールをより長く設定することで,提案するクラウドリソースものづくりに対する中長期的な企業戦略・戦術レベルの特性評価を実施し,実規模の生産環境を意識した提案手法の妥当性検証を実施した. これらの研究内容については,本研究課題の最終成果として,ハイレベルの国際ジャーナルを含め8本の査読付き論文として報告し,高い評価を得ることができた.また2件の解説記事や2件の国際会議における招待講演を行い,本研究課題における研究成果を広くアウトリーチすることができた.
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