研究課題
東海地域のプレート境界で2012-2016年に起きたゆっくり滑りのデータベースと、気象庁が同地域で運用するひずみ観測点の情報に基づき、歪み観測網を、コンピュータを用いて仮想的に再現し、その観測網に観測点を追加した場合、どの程度観測能力が向上するかを評価する手法を開発した。これは、本課題で掲げた研究目的を達成できたことを示している。将来の南海トラフ地震に備えて、プレート間の固着状況を逐次把握することは重要であり、その把握の精度を上げるには、固着状況を反映するゆっくり滑りの観測能力の向上が必須である。しかし、日本の社会的・経済的状況を踏まえると、地震防災といえども、闇雲に観測点を追加できるわけではなく、コストの抑制と、効果が出る設置が今後さらに求められる。その解決策の一つを提供するのが本成果であり、仮想現実の中で歪み観測点を設置し、設置目的に見合うだけの観測能力の向上があるかどうかを試算することができる。観測点を追加して、観測能力を評価する実験を現実世界で実施する必要がないので、実験のコストが抑えながら、効果の出る設置について指針を策定するための支援ができる点で意義がある。本研究で作成したソフトウエアを公開できる様にパッケージ化の用意はできた。また、成果の主要部分を、国際学術雑誌(K. Z. Nanjo, Capability of Tokai strainmeter network to detect and locate a slow slip: first results, Submitted to Geosciences)及び、国内外の会議で公表予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件)
entropy
巻: 21(4) ページ: 421
10.3390/e21040421
Tectonophysics
巻: 749 ページ: 35-45
10.1016/j.tecto.2018.10.023