研究課題/領域番号 |
17K18963
|
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
藤田 実季子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, シームレス環境予測研究分野, 技術研究員 (50426293)
|
研究分担者 |
山田 朋人 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10554959)
菊森 佳幹 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(水災害・リスクマネジメント国際センター), 研究員 (20415003)
牛山 朋来 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(水災害・リスクマネジメント国際センター), 研究員 (50466257)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | GNSS可降水量 / GPS可降水量 / 船舶観測 / OSSE / LETKF |
研究実績の概要 |
本研究では日本域の降水予測精度の向上を目指した技術開発として、海上での可降水量観測をリアルタイムで実施するために、船舶から安定的に可降水量の情報を観測できるシステム開発と海上水蒸気量の予報に対するインパクトの検討を目的としている。 平成29年度は以下の2点について着手した。 これまで主に陸上固定観測点で行われていたGNSS可降水量解析を、船舶上でリアルタイムに行うために、速報の衛星情報と移動体で観測されたGNSSデータを用い大気遅延量の算出を精密単独測位(PPP)により実施した。陸上固定観測点で得られたGNSSデータも同様手順で大気遅延量解析を行い、双方の精度の比較を実施した。さらに既存のPPPだけでなく、陸上の固定GNSS観測点から算出された補正値を用いる(PPP-AR)ためのシステムを船上において開発した。 次に、海上可降水量の日本域の降水量に与えるインパクトを調べるために、領域モデルWRF (Weather Research and Forecasting model)とアンサンブルカルマンフィルター (LETKF)を組み合わせたシステムにより、仮想的に船舶で観測された可降水量を同化した予報実験を行った。テスト事例として、豪雨(2015年鬼怒川洪水を引き起こした豪雨)の予測精度が向上することを確認した。さらに河川の洪水流量等に関するインパクトを評価するための降雨流出モデルも構築した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であるリアルタイム解析手法の開発と精度検証と海上可降水量のインパクトの統計的評価にむけて、初年度は順調に準備をすすめ着手することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、リアルタイム解析については、船舶で観測されたデータをPPPとPPP-ARリアルタイム暦で解析し、これまでの船上観測の可降水量の精度との比較を進める。海上可降水量のインパクト調査については、数値モデルを用い仮想船舶観測の数や位置と予測精度との関係について調査を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
船舶上で使用するサーバとソフトウェア開発を優先したところ、サーバは既存品を流用したほうが効率的と判断されたため残金が発生した。当該予算は陸上受信側の設備増強に次年度以降使用する予定である。
|