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2017 年度 実施状況報告書

近赤外光利用マンガンシリサイド薄膜太陽電池の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K18971
研究機関東北大学

研究代表者

林 慶  東北大学, 工学研究科, 准教授 (70360625)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード太陽電池
研究実績の概要

本研究の目的は、近赤外光を吸収するp型、n型マンガンシリサイド(Mn1-xFexSiγ~1.73)の薄膜太陽電池の作製である。現在普及している太陽電池は近赤外光をエネルギー源として用いておらず、太陽光エネルギーから電気エネルギーに変換するエネルギー変換効率は約20%である。現状の薄膜太陽電池と本研究で開発する近赤外光も吸収できる薄膜太陽電池と組み合わせることができれば、エネルギー変換効率を約30%まで向上できると予想される。
本研究の課題は以下の3つである。(1)p型、n型薄膜のキャリア密度の制御、(2)ドロップレットのないp型、n型Mn1-xFexSiγ薄膜の作製、(3)pn接合膜の試作と評価である。今年度は(1)のキャリア密度の制御を実施した。Mn1-xFexSiγバルクの電気伝導率が、Fe置換量x~0.27近傍で低くなる、つまりキャリア密度が低くなることから、x~0.27近傍の組成のMn1-xFexSiγ薄膜を作製した。実際に作製した薄膜が、Mn1-xFexSiγの組成であることをX線回折とラマン分光を用いて確認した。薄膜のキャリア密度を測定するのは困難であるため、同じ組成のバルクでキャリア密度を測定したところ、約1×10^17 cm-3であった。このキャリア密度の場合、空乏層厚さは約100 nmと見積もることができ、近赤外光を90%吸収できることになる。また、光学バンドギャップの大きさは約0.8 eVであり、近赤外光を吸収できることを明らかにした。また、翌年度の実施事項のうち、ドロップレットのないp型、n型Mn1-xFexSiγ薄膜を作製するための装置を発注し、成膜装置に導入した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度はp型、n型Mn1-xFexSiγ薄膜のキャリア密度の制御を目的とし、Fe組成をx~0.27のバルクと薄膜を作製した。その結果、MnSiγとMn0.7Fe0.3Siγと比較して、キャリア密度を4桁低くすることに成功した。さらに、Mn1-xFexSiγ薄膜は近赤外光領域のバンドギャップを持っていることが明らかになり、Mn1-xFexSiγ薄膜を用いた近赤外光吸収太陽電池の実現への足掛かりを得ることができた。また、翌年度の研究で用いるドロップレット除去装置を完成させ、成膜装置に組み込むところまで実施した。したがって、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

今後は残された2つの課題、(2)ドロップレットのないp型、n型Mn1-xFexSiγ薄膜の作製、(3)pn接合膜の試作と評価を実施する。今年度、ドロップレット除去装置を成膜装置に導入したので、成膜条件の最適化を含めて、ドロップレットのない平坦なMnSiγ薄膜とMn0.7Fe0.3Siγ薄膜を作製する。さらに、Fe組成x~0.7の薄膜を作製し、その近辺で組成を細かく変えて、pn膜を作り分け、pn接合膜を作製する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Fabrication of (Mn,Fe)Siγ~1.7 thin films for near-infrared absorption solar cells2017

    • 著者名/発表者名
      K. Hayashi, K. Ishii, C. Kawasaki, R. Honda, Y. Miyazaki
    • 学会等名
      The 27th International Photovoltaic Science and Engineering Conference PVSEC-27
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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