• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

ワイヤレス電解剥離法によるグラフェンの合成と構造制御

研究課題

研究課題/領域番号 17K18994
研究機関工学院大学

研究代表者

橋本 英樹  工学院大学, 先進工学部, 助教 (60579556)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワードグラファイト / 電気化学 / インターカレーション / アノード酸化 / 硫酸 / 電流密度
研究実績の概要

本研究では,グラファイト粉末に対して直接導通を取らずに電解処理を施し,グラフェンを効率的に得る手法(ワイヤレス電解剥離法)を確立することを最終的な目的としている。これを実現するためには,インターカレーション反応,アノード酸化,バイポーラ電気化学,交流電解を組み合わせ最適な電解条件を確立する必要がある。初年度はグラファイトを剥離させるための基礎条件を見極めるために,有線直流電解においてグラファイト箔の電解剥離に対する基礎データを収集した。
報告されている複数の酸性電解液を用いて,印可電圧,電流密度,電解液濃度,電解液温度,電極間距離がグラファイトの剥離に及ぼす影響を調査した。また出発原料の違いが剥離にどのような影響を及ぼすか検討した。その結果,電解液として硫酸を用いた場合,高濃度電解液を用いて高い電流を流した際に剥離が迅速に進行することが明らかになった。印可電圧はそれほど重要なパラメータではなく,4V程度の電圧で剥離は十分に進行した。電解液の温度が高いと電流値が急上昇するため,電解液は室温に保ち,熱を拡散させるために撹拌を行うことが効果的であった。有線直流電解において電極間距離はそれほど重要な因子でないこともわかった。また,天然黒鉛のように結晶性の高いグラファイトでは剥離に要する時間が長くなった。これらの傾向はインターカレーション反応を利用したグラファイトのアノード電解剥離においては共通の現象であると考えられる。また,得られたグラフェンの特性評価の準備も順調に進行している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り,有線直流電解においてグラファイトを剥離させるための基礎条件(印可電圧,電流密度,電解液濃度,電解液温度,電極間距離)を見極めることができたため,研究は概ね順調に進展していると判断される。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り,有線直流電解においてグラファイトを剥離させるための基礎条件(印可電圧,電流密度,電解液濃度,電解液温度,電極間距離)を明らかにすることができたので,本年度以降も計画通りに研究を推進する。まずは,得られた知見を基盤として,グラファイト箔に対してバイポーラ電気化学を応用した直流ワイヤレス電解の条件を探索する。その後,交流電解を組み合わせることで,効率よくグラフェンを合成できる条件を検討する。同時に,電解因子がグラフェンの構造に及ぼす影響を,各種分光法(ラマン分光法,X線光電子分光法),電子顕微鏡法(TEM,STEM),回折法(XRD)を組み合わせることで,詳細に解析する。解析結果を剥離にフィードバックし,グラフェンの構造を自在に制御する。また,得られたグラフェンを用いた電気化学デバイスの特性評価も随時行う。

次年度使用額が生じた理由

できるだけ残額が生じないように予算執行を行ったが,最終的に93円の余りが生じた。この費用は次年度の消耗品購入に充てる予定である。

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi