レーザー誘起衝撃圧縮波により結晶が急速に加圧されたときの固体の応力偏差の変化を観測するために、高強度レーザー駆動の衝撃波と放射光のX線パルスを組み合わせ、X線集光ミラーを用い3 次元で可視化するための角度分散型の時間分解X線回折測定法の技術開発を実施している。プローブとして使用する放射光施設(Photon-Factory Advanced Ring: PF-AR)から得られる100ピコ秒の硬X線パルスを使用し、レーザーアブレーションによる衝撃波の駆動には1パルス、16 Jの高強度ガラスレーザーを衝撃波駆動源として用いた。面心立方格子の金属であるアルミ二ウムのピコ秒時間分解X線回折から結晶子の微細化と不均一性が増大する過程を明らかにし、回折ピークの幅の統計解析から衝撃圧縮した多結晶アルミニウムの転位密度を定量的に解析することが出来た。真空蒸着器を導入し、レーザー誘起衝撃波を駆動するためのプラスチックアブレーターにアルミニウムを数10 nm蒸着させることで試料へ入るレーザーの時間プロファイルの裾を遮断し、時間プロファイルの裾のアブレーションによる前駆衝撃波を遮断した時間プロファイルの良い衝撃波を形成できることを多結晶アルミニウム箔で確認出来た。また、角度分散X線回折法のテストをAR-NW12AビームラインでX線用ポリクロメータを用いて行い単結晶シリコンの回折パターンを角度を振ることなく測定が可能になり、その角度分散型X線回折測定法の有効性が確認出来た。
|