研究課題/領域番号 |
17K19002
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鷺坂 将伸 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (60374815)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / CO2 / 水クラスター / 分子集合体 |
研究実績の概要 |
H29年度では、1年間で(1)ナノリアクター循環・再利用型ナノ粒子連続合成システムの装置の作製とNohead FC6-HC4の大量合成、(2)ナノ粒子合成の条件最適化、(3)ナノ粒子回収の条件最適化を行うことを予定していたが、実際は6月30日からの研究開始であり、3か月間少ない実施期間であったため、(1)および(2)のみを行った。(1)では、合成装置を完成させ、Nohead FC6-HC4の大量合成を行い、それらを利用して、ZnSナノ粒子およびシリカナノ粒子の合成を行った。ZnSに関しては、Nohead FC6-HC4により硝酸亜鉛と硫化ナトリウムの水溶液を超臨界CO2中に分散させ、混合することでZnSの析出反応を起こさせた。その結果、200nm程度の単分散な立方体状のZnSナノ粒子が多く生成していることが、透過型電子顕微鏡観察や動的光散乱測定により明らかにされた。シリカに関しては、テトラメトキシシラン(TMOS)をNohead FC6-HC4により調製したアンモニア水/CO2ナノ分散系に加え、TMOSの加水分解・重縮合反応を生じさせた。残念ながら、合成後にはマクロメーターサイズのシリカ凝集体のみが観察されるのみで、良好なシリカナノ粒子は得られておらず、最適合成条件の探索を進めているところである。なお、本研究成果に関して、国際学会EMN Hawaii meeting 2018にて口頭発表(招待講演)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請書では、H29年度は1年間の研究期間があると考え計画を立てていた。しかし、実際は3か月間少なく、申請書中のH30年4月時点の計画よりは研究が遅れている。また、微粒子合成の要となるNoheadFC6-HC4の大量合成を進めたが、収率が低く、大量に得るために多くの時間を費やした。その結果、微粒子合成実験の開始が遅れ、当初予定していたナノ粒子合成を十分に実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Nohead FC6-HC4の大量合成は、収率が低く、合成にかかる費用も高いため、時間および研究費にかかる負担が大きかった。そこで、収率が高く、合成が容易でかつ、安価な材料で合成できるNohead FC6-HC4代替物の開発を行う。見つかった際には、それを合成・利用して、本研究を加速させる。なお、H30年度で目標達成が十分にできなかった場合は、さらに1年間の研究期間の延長申請を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H29年度では、研究を加速させるために実験補助者を雇用する予定であった。しかし、適切な人材が確保できず実験補助者を雇用することができなかったため、11万円程度の未使用額が発生した。現在は、実験補助者を確保できているため、H29年度の未使用額は、H30年度の実験補助者への謝金に費やす予定である。
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