研究実績の概要 |
2種以上のナノ材料を規則的に配列させることで、物理的・化学的特性の向上や新機能の発現、協奏効果による活性向上効果などが期待される。本年度の研究では、共有結合を用いた2種のナノ粒子の構造形成手法を提案した。 3,4-dihydroxybenzoic acid(DHBA)修飾CeO2の外側に呈示したカルボキシル基と2-aminoethanethiol(AET)修飾Auナノ粒子の外側に呈示したアミノ基を反応させ、アミド結合を形成し、二元系ナノ粒子複合体を作製した。 まずEDS解析により、単純に2種のナノ粒子を混合したサンプル(静電的相互作用を介した配列)と比較し、共有結合処理(より強固な結合を形成させつつ配列)を施したサンプルでは、ナノレベルでもCeO2粒子とAu粒子が良好に混合している様子が確認された。 さらにこのサンプルをメタン改質反応を進行させる酸素キャリアとして利用し、その反応特性の評価を行ったところ、化学結合形成を介した配列処理を施したAu-CeO2構造体では酸化反応がより進行し、さらにH2がH2Oに酸化されるという結果を得た。この結果は、Au粒子とCeO2粒子の混合によりCeO2格子酸素の放出量が増加し、また酸化活性が増大したことを示している。粒子が反応ガスに、より接触する3次元構造形成が得られたことで、CeO2の酸素吸蔵能が十分発現するとともに、Auを介した酸化反応が進むことで、CeO2の格子酸素の移行、反応速度が向上したものと考えている。 以上より、修飾鎖同士の共有結合形成を介した配列操作により、金属-金属酸化物ナノ粒子構造体の作製に成功した。Au-CeO2の3次元複合構造体の形成により、メタン改質反応試験において、反応ガスとの接触(物理的構造)が得られるとともにAu-CeO2間の酸素移動が促進され、それにより酸素吸放出量も増大する、協奏効果の発現が明らかとなった。
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