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2017 年度 実施状況報告書

水素連続製造のための中空光触媒粒子集積システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 17K19020
研究機関東北大学

研究代表者

長尾 大輔  東北大学, 工学研究科, 教授 (50374963)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワードナノ材料
研究実績の概要

触媒活性を有する表面を互いに接触させることなく、光触媒粒子を高密度で集積させることを目的として、シリカで構成されたインバースオパール(IO)体の空隙部にチタニア系光触媒を、その表面を露出させた状態で閉じ込めた「IO型光触媒粒子集積体」の作製プロセスを検討した。検討した合成プロセスは、球状チタニア粒子をポリマーで被覆する工程、ポリマー被覆チタニア粒子を集積過程で同チタニア粒子の間隙にシリカ成分を充填する工程、シリカ成分を取り込んだ同チタニア粒子集積体を焼成する工程の3種の工程からなる。第一のポリマー被覆工程では、ポリマーシェルの厚膜化には複数の重合が有効であることを明らかにした。第二のシリカ成分充填工程では、ポリマー被覆チタニア粒子の間隙に充填するシリカ成分としては、従来検討されてきたシリカナノ粒子だけでなく、シリコンアルコキシドを酸性条件で加水分解したシリカ前駆体も有効であることを実証した。第三の焼成工程では、焼成温度と時間を適切に選べば、チタニア粒子の集積状態を大きく損なうことなく、ポリマー等の有機成分を選択的に取り除けることを明らかにした。
このように作製したIO型光触媒粒子集積体の光触媒能を調べるため、回分式反応器内での有機物分解速度を紫外線照射下で評価した。その結果、本研究で作製したIO型光触媒粒子集積体は、500 rpm以上での撹拌速度の増大により、中空構造を持たない光触媒粒子集積体の場合よりも、有機物分解速度の増大比率を高くできることを示した。これらの結果から、触媒活性表面を異種材料で覆うことなく光触媒粒子を高密度で集積させることができれば、反応基質(有機汚染物質や水)とその分解反応によって生じる生成物の物質移動を確保した状態で光触媒反応を連続的に進めることが可能となり、流通式光触媒反応による連続プロセスも今後期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

シリカ骨格からなるインバースオパール構造を利用することで、光触媒活性を有する表面を異種材料で覆うことなく、球状チタニア粒子を集積化できたが、流通反応による光触媒活性評価には至っておらず、次年度への課題を残した。

今後の研究の推進方策

流通反応による光触媒活性評価を中心に検討する。触媒活性を簡便な評価法として、紫外線照射下での有機汚染分解反応を利用して、流通式連続プロセスに適した光触媒構造を検討するとともに、流通条件も検討する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、光触媒活性を評価するための装置導入を効率的に進めることができたため、次年度使用額が生じた。次年度は、流通式反応器内で触媒活性を評価するための費用として使うことで、照射光を効果的に利用できる光触媒システムを構築する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Uniform formation of mesoporous silica shell on micron-sized cores in the presence of hydrocarbon used as a swelling agent2018

    • 著者名/発表者名
      Haruyuki Ishii, Mitsunobu Nara, Yuri Hashimoto, Arata Kanno, Shunho Ishikawa, Daisuke Nagao, Mikio Konno
    • 雑誌名

      Journal of Sol-Gel Science and Technology

      巻: 85 ページ: 539-545

    • DOI

      10.1007/s10971-018-4589-y

    • 査読あり
  • [学会発表] HPLC応用に向けたコアシェル型メソポーラスシリカミクロン粒子のシェル厚制御2018

    • 著者名/発表者名
      石川椿峰、橋本佑里、石井治之、長尾大輔
    • 学会等名
      化学工学会第83年会
  • [学会発表] 光触媒内包型粒子集積体の活性に及ぼす光触媒空間分布の影響2017

    • 著者名/発表者名
      奈良光展、石井治之、長尾大輔
    • 学会等名
      化学工学会第49回秋季大会
  • [備考] 東北大学大学院工学研究科 化学工学専攻 長尾研究室HP

    • URL

      http://www.che.tohoku.ac.jp/~mpe/index.html

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公開日: 2018-12-17  

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