本研究では、個々の水素結合の力の大きさと分布を高空間分解能で定量測定する手法の確立を目的とした。2原子間に働く微小な力を検出することができる非接触式原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、表面上に吸着した分子と探針先端原子との間に働く個々の水素結合力の検出を試みた。 探針先端の分子種が化学的に活性であると表面分子と反応してしまうために、大きな水素結合力が働く系の計測は困難であることが示された。 一方、そのような修飾探針を用いて、1つの一酸化窒素(NO)分子をスイッチとして動作させることに成功した。2原子間に微小な反発力(パウリ斥力)が効果的に働くことでスイッチが起こることをAFMの力計測で明らかにした。
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