研究課題/領域番号 |
17K19033
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
筒井 真楠 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50546596)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / ナノコンタクト / 量子閉じ込め / 界面 |
研究実績の概要 |
本年度では、水中でのトンネル電流計測による1分子検出に適した電極被覆材料の選定を行った。Auブレークジャンクション素子を絶縁被覆する材料として、二酸化ケイ素及びアルミナを試した。水中における高速トンネル電流計測を室温下で実施した。トンネル電流計測には高速・高ゲイン電流アンプとデジタイザを用い、サンプリングレートは1MHzとした。溶媒には、塩基分子計測を見据えてリン酸緩衝液を選んだ。得られたデータについてノイズスペクトルを調べた結果、電流ノイズは二酸化ケイ素のほうがアルミナに比して小さいことが分かった。これは、アルミナより低い誘電率を有する二酸化ケイ素を電極表面にコートすることで、ナノ電極系のキャパシタンスがより低減できたため、電流ノイズとして顕著になる高周波域のノイズ成分が低下した結果、と解釈できる。さらに、絶縁膜の厚さを変えてそのノイズの影響を調べた結果、50ナノメートルまで膜厚を厚くすると、ノイズはその分低減できることが分かった。膜厚を厚くすることで、絶縁層のキャパシタンスが低減できたためと考えられる。 また、当該ナノ電極を用いて、交流電場印可による原子サイズ接点及び単分子接合の電気伝導度計測を実施した。測定では、金MCBJ素子を用い、直流電圧に交流電圧を加算して、ブレークジャンクション測定を実施した。記録した接合を流れる電流の高周波成分はローパスフィルタを用いて除去し、直流成分だけを解析した。その結果、振幅1V、周波数100kHz以上の条件下において、金単原子鎖並びに単分子接合の形成が可能であることを明らかにした。 あることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の目標であった、水中における1分子トンネル電流計測に適したナノ電極の被覆材料の選定を達成しただけでなく、本研究の主たる目的である交流電場による1分子配向制御を達成する上で、実際に交流電圧印加時においても、単分子接合を形成し、その電気輸送特性や安定性を評価かのうであることを明らかにできた。このように、当初計画を上回るペースで研究は進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、水中において交流電圧を印加した状態で1分子トンネル電流計測を実施し、その電気伝導度のバラつきと交流電場条件との関係を調べることで、交流電場による1分子配向制御の可能性を検証する。
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