本研究は大きなスピンホール角と比較的高い超伝導転移温度を持つA15構造タングステン(beta-W)を用いて、常伝導時のスピンホール角と超伝導転移温度の関係を明らかにすることが目的である。本研究では、炭素を50%程度含有する炭化タングステンやMoN/Wの2層膜などの超伝導転移温度を調べ、スピン軌道相互作用が大きく、超伝導温度が高い物質の開発を行った。特にMoN/W2の2層膜では、超伝導近接効果を利用して、8K程度の転移温度を得ることに成功した。また、W単膜(厚さ3nm)の超伝導特性を調べ、超伝導のコヒーレンス長が7-14 nm程度であることが明らかになった。
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