研究課題
単結晶窒化アルミニウム(AlN)はAlGaN系深紫外発光素子の基板として期待される材料である.代表者はこれまで,Ga-Alフラックスを用いたサファイア基板上へのAlN液相成長技術の開発を行ってきた.このGa-Alフラックスを用いた液相成長法の開発中に,Ga-Alフラックスの上部でAlNが気相から生成していることを見出し,本研究課題の手法を発案,開発した.本手法では,炉内に温度分布をつけることで,N2ガスの役割を炉内の場所ごとに変えてAlNを成長させる.比較的低温に保持した原料部では,N2ガスがキャリアガスとして働き,高温に保持した結晶成長部では,N2ガスが原料ガスとして働き,AlNが成長する.昨年度までの研究で,炉内圧力がAlN成長に及ぼす影響を調査し,1.0から0.1 barの範囲で,圧力の低下とともにAlNの成長速度が増大することが明らかとなり,また,0.1 barの圧力下では5 hのプロセスで4.1マイクロメートルの厚さのAlN膜が成長した.本年度は,炉内のAlN結晶成長部(高温部)にN2-20vol.%NH3混合ガスを供給する実験を行い,AlN結晶の高速成長を目指した研究を行った.1673 Kの1.0 barの圧力下で実験を行った結果,N2ガスのみを供給した場合と比べ,AlN成長量の増加が確認された.しかしながら,成長の温度を1873 Kとして実験したところ,1673 Kの温度での実験と比べ,成長量は低下した.これは,温度の上昇によって,Ga-Alフラックスから発生したAlガスが基板に到達する前にNH3と反応してしまい,その結果,基板へのAlガスの供給量が減少したためと考えられる.さらに1873 Kの0.1 bar下でのAlN成長実験も試みたが,N2ガスのみを供給した場合と比べて成長量が低下した.今後,NH3ガスの供給法の検討を行う必要がある.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Journal of the American Ceramic Society
巻: 103 ページ: 2389~2398
doi.org/10.1111/jace.16960