研究課題/領域番号 |
17K19068
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡本 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10292278)
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研究分担者 |
加藤 剛志 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50303665)
北上 修 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70250834)
菊池 伸明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80436170)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | skyrmion / DMI / スピンダイナミクス |
研究実績の概要 |
磁気skyrmion(以降,skyrmion)は,Dzyaloshinskii-Moriya相互作用(DMI)によるトポロジカルスピン構造の一つであり,実験的にその存在が実証されてからまだ数年しか経っていない非常に新しいものであるが,ナノスケール領域でトポロジカル安定性を有していることから,メモリキャリアとしての応用が期待されている.現在主流で研究されているskyrmionメモリ素子はレーストラック型と呼ばれるものであり,未だ解決すべき多くの問題・課題を抱えているのが現状である.本研究では,新たな原理に基づく新規skyrmion多値メモリ素子の提案を行うものである.具体的には,skyrimionを磁性ディスクに生成・消去手法の開発,複数skyrmionの蓄積とその個数に応じた多値メモリ検出技術の開発を行う.研究初所年度であるH29年度は,主にシミュレーションによって研究を進め,その結果,skyrmion生成のための相図を作成し,またマイクロ波による磁性ディスクへのskyriom生成,消去が可能であることを示した.H30年度はこの結果をもとにして,室温でskyriom生成が期待されるGdFeCoアモルファス合金薄膜を用いた実験を行い,以下の成果を得た. (1) GdFeCoアモルファス合金薄膜を用いて微細加工を行い,垂直磁化ドットならびにマイクロ波印可可能な素子を作製した. (2) GdFeCoアモルファス合金垂直磁化ドットの強磁性共鳴により,ジャイロ磁気定数増大を確認した.これはフェリ磁性のスピン構造を反映したものである. (3) GdFeCoアモルファス合金垂直磁化ドットにマイクロ波印可を行い,マイクロ波による磁化反転が可能であることを実証した.この反転磁場のマイクロ波周波数依存性は強磁性共鳴で得たジャイロ磁気定数から期待されるよりも小さくなっており,磁化反転の際の実効的なジャイロ磁気定数が変化している可能性やスピン波の高次モード励起などの原因が考えられる.
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