研究実績の概要 |
超短パルス光を試料に集光することで発生する種々の非線形光学現象を複数同時に検出するマルチモーダル顕微鏡は、計測試料から多面的な情報を収集する手法として効果的である。本研究の目的は、超短パルス光を用いた高速非線形マルチモーダル顕微鏡を開発し、顕微鏡で同時に取得される種々の非線形光学過程による画像を情報科学の先端技術を用いて画像解析するシステムを構築することである。 はじめに、高速マルチモーダル顕微鏡のプラットフォームとして、10fsの超短パルス光と高速スキャンマイケルソン干渉計を用いた高速広帯域のコヒーレントラマン顕微鏡を開発した。10,000ピクセルからなる広帯域ラマン分光画像を毎秒1枚のレートで計測できることを実証した。 次に、試料面で発生する他の非線形光学現象をダイクロイックミラーで波長ごとに分別し、別の検出器で同時に取得する改良を行った。第2次高調波(SHG)、第3次高調波(THG)に加え、2光子蛍光(2PF)、3光子蛍光(3PF)のうち複数を同時に検出する系を構築し、画像取得することに成功した。 今後、情報科学の技術を取り入れることで、高速に取得される画像をリアルタイムに画像処理し、画像の分類や判断をするシステムを構築する研究を行う。 本顕微鏡は、生命科学における細胞や組織の計測、あるいは、レーザー加工などのマテリアル科学における新しい計測ツールとして利用されることが期待される。
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