研究課題
本研究は、熱中性子の波長(0.1nmオーダー)より1桁以上長い波長(1~10nm オーダー) を持つ冷・極冷中性子ビームのスピン偏極制御をホログラフィーの手法によりコンパクトかつ柔軟に実現することを目的とする。昨年度の研究実績を以下に示す。1. オレイン酸で表面処理した超常磁性ナノ微粒子であるマグネタイト(Fe_3O_4)をトルエン中に分散した磁性ナノ微粒子ゾルを10vol.%以上で高濃度均一分散するために1官能アクリルモノマーをホスト材料として多官能アクリルモノマーを架橋モノマーとした混合モノマーを用いて一様分散するための分散条件について究明した。その結果、1官能アクリルモノマーと多官能アクリルモノマーの混合を適切に調整することにより磁性ナノ微粒子濃度9.3vol.%までの一様分散を実現した。2. 上記分散条件において光重合性磁性ナノ微粒子分散コンポジットフィルムを作成し、波長532nmのレーザーを用いた二光束干渉露光による透過型平面波体積ホログラフィック格子の記録を行った。その結果、回折効率およびその入射角依存性の測定から波長532nmでの飽和屈折率変調振幅が最大0.0053の透過型平面波体積ホログラ フィック格子を得た。3. 超伝導量子干渉計(SQUID)により一様露光硬化した磁性ナノ微粒子分散コンポジットフィルム磁化特性を測定し、非ヒステリシス特性を観測し磁性ナノ微粒子分散で特徴的に見られる超常磁性が磁性ナノ微粒子分散コンポジットフィルムにおいても発現していることを確認した。4. 膜厚26ミクロンの光重合性磁性ナノ微粒子分散コンポジットフィルムに記録した透過型平面波体積ホログラフィック格子を用いた無スピン偏極冷中性子(波長4.5nm)ビーム回折実験を行い、最大回折効率6%が得られることを示した。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 916 ページ: 154~157
doi.org/10.1016/j.nima.2018.11.074