現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに、アモルファスSiO2に内包されたTiO2ナノ微粒子を作製し、この微粒子が薬剤等の比較的低分子の検体を、イオン化することが可能なことが明らかになった。さらに、微粒子を覆うSiO2の層の厚みの違いにより、イオン化支援能が変化することも新たにわかった。しかしながら、より高分子の検体をイオン化し、検出することができれば、糖や脂質など、より幅広い情報を得ることができる。そこで、金属部分のチタン(Ti)の部分を、鉄(Fe),ニッケル(Ni)に変化させることを試み、さらにイオン化支援機能を向上させることを予想して、微粒子の表面に官能基を修飾する方法を取り入れた。 作製試料はアモルファスSiO2に内包されたNiFe2O3,ニッケルフェライトであり、この物質について、吸光度や分散性、さらに放射光を用いて局所構造の分析も行いイオン化支援機能との関係を解明していくことができた。微粒子の粒径も3-9 nmに制御することができ、その依存性も観察することができた。薬剤のコルヒチンを検出したところ、小さい粒径の3nmのものが高いイオン化支援機能を持つことが明らかになった。 さらにこれらの微粒子にアミノ基を修飾することを考えた。結果からはアミノ基を修飾することで、単体より5倍以上のS/N比を持つ、非常に優位な検出が可能になることを見出した。C-N結合が重要な役割を果たしている可能性もあり、イオン化のメカニズム解明に一歩前進できたといえる。
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