研究課題
研究期間中に、厚さ僅か5μmのフレキシブル・ポリイミド基板上FeCo磁性細線の形成を成功した。特殊な対向ターゲットスパッタリング装置を用いて、斜めスパッタリング効果の影響で、面内大きな磁気異方性を持つ薄膜の形成を成功した。これらの技術を用いて、レーザー微細加工及びスパッタリングでFeCo磁性細線の幅方向に磁気異方性の導入を成功した。粉末図形法、カー顕微鏡を用いて、フレキシブル基板上のFeCo磁性細線の基板の変形により磁区構造の変化を調べたところ、基板変形前の磁性細線では、スピンの向きは細線の幅方向に揃っている。そして基板の僅かなたわみがあると、磁化スピンの向きは大幅に回転することを発見した。FeCoは最も飽和磁束度密度の高い軟磁性材料としてよく知られている。すなわち周囲環境の振動のみならず微弱な漏洩磁束によっても磁化スピンの回転が生じる。従って、周りにピックアップコイルを形成により、基板のたわみの微弱な振動エネルギーなどを効率よく電流に変換することができる。実験ではポリイミド上に形成したFeCo薄膜を手巻きのコイル内に入れた場合の実際の誘導電圧波形を入力インピーダンス50Ωで測定したものである。試料はFeCo/polyimideの単層膜であるが、特段の振動を加えることなく数mV単位の電圧を得られることが明らかになっている。この研究の結果は、後述の学術論文誌に投稿し、査読を得て掲載されている。 特許出願も行った。以上のように、研究期間中に、【1】磁性薄膜素子のFeCoの組成、膜厚、素子形状を詳細に検討した、基板変形による磁性薄膜の磁化を効率的に回転させる組成、膜厚、素子形状を明らかにした。【2】発電効率の最も高いスピンの向きを揃えた単磁区素子を作製し、素子のサイズと単磁区構造、そしてナノコイルの線幅を詳細に解明した。
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Advanced Electronic Materials
巻: 5 ページ: 1800467~1800467
10.1002/aelm.201800467