• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

地下き裂ネットワークの効率的推定と持続的地熱フィールドデザイン

研究課題

研究課題/領域番号 17K19084
研究機関東北大学

研究代表者

鈴木 杏奈  東北大学, 流体科学研究所, 助教 (60796449)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード地熱 / フィールドデザイン / ネットワーク / 物質移動 / 熱移動 / 逆解析 / 解析解
研究実績の概要

本研究の目的は,トレーサーデータに基づいた持続的な地熱フィールド設計であり、地熱開発で利用可能なネットワークモデルの開発に挑戦する。本研究の研究課題は、(I)非整数階微分モデルを組み込んだ井戸間き裂ネットワーク解析モデルの開発 (II)解析モデルの可視化 (III)柳津西山地熱フィールドへの適用 (IV)柳津西山地域における還元設計の提案 である。本年度は、研究課題(I)非整数階微分モデルを組み込んだ井戸間き裂ネットワーク解析モデルの開発、および(II) 解析モデルの可視化に取り組んだ。
研究課題(I)では、多孔体中の石油移動挙動を対象として開発されたモデルを新たに地熱貯留層対象のモデルに作り変えるため、トレーサー移動と熱移動とを組み合わせた井戸間のネットワークモデルについて検討した。まずは、一対の井戸間に対し、流体が流路内の外部に流出、外部から流入する場合に対応するモデルを作成し、数値計算結果でその妥当性を示した。また、温度応答を用いることで、流路内の表面積を推定した。この手法については、数値計算ならびにトルコBalcovaフィールドの実データを用いて妥当性を検証した。これにより、地熱開発において持続可能なフィールドデザインに必要不可欠な、熱供給に関与する地下構造を推定できる可能性を示した。研究計画では、非整数階微分を含むモデルの利用を検討していたが、非整数階微分を含むモデルについては、放射性物質移行に関するモデルの解析解を導出した。この解析解が地熱フィールドに適用できるかについては、次年度の研究課題である。
研究課題(II)では、Balcovaフィールドの流路表面積の可視化を行った。その結果、理にかなった推定ができていることが示され、感覚的にもわかりやすい結果の表示方法であると言える。今回の結果は、次年度に取り組む自動的な可視化のプログラムコードの提案に役立てられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、1報の国際投稿論文、国際学会で2件、国内学会で1件の発表をしており、国際学会では論文を2報プロシーディングスにまとめている。学会の発表を通し、国内外で賞賛を受け、期待される手法であることを確信した。また現在国際論文への投稿を予定している。

今後の研究の推進方策

研究計画では、非整数階微分を含むモデルの利用を検討していたが、このモデルが地熱フィールドに適用できるかについては、今後の研究課題である。非整数階微分を含むモデルを利用しなくても、温度応答に着目することによって、より簡易に、より効果的なモデルの提案ができるのではないかと考えているため、研究の方向性は見極めたい。
世界で先駆的な離散き裂ネットワークモデルFracman (Golder associates Inc.)ならびに,AP-GPRS (スタンフォード大学)を利用し,流体流動計算を実施する予定であったが、結果は出せていない。今後、うまく結果を出すことができれば、モデルの検証に利用したい。
また、今年度は、一対の井戸間のモデル開発に留まっていたので、今後は複数の井戸間でのモデル開発に取り組む。これまでのところ順調に進展できており、期待ができる。また、並行して、研究課題(III)柳津西山地熱フィールドへの適用 (IV)柳津西山地域における還元設計の提案 に取り組む。フィールド開発者や有識者からのアドバイスをもらいながら進めたいと思う。

次年度使用額が生じた理由

予定していた人件費を次年度に繰り越した。また、予定していた打ち合わせが調整できなかったため、旅費の額が減少した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] California State University, Chico/Stanford University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      California State University, Chico/Stanford University
  • [国際共同研究] Moscow City University(ロシア連邦)

    • 国名
      ロシア連邦
    • 外国機関名
      Moscow City University
  • [雑誌論文] Mathematical Modeling of Non-Fickian Diffusional Mass Exchange of Radioactive Contaminants in Geological Disposal Formations2018

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Anna、Fomin Sergei、Chugunov Vladimir、Hashida Toshiyuki
    • 雑誌名

      Water

      巻: 10 ページ: -

    • DOI

      10.3390/w10020123

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Development of Numerical Methods for Estimating Fluid Flow Path in Fractured Geothermal Reservoir2018

    • 著者名/発表者名
      Ikhwanda Fuad、Suzuki Anna、Hashida Toshiyuki
    • 雑誌名

      Proceedings of the 43rd Stanford Workshop on Geothermal Reservoir Engineering

      巻: - ページ: -

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Estimation of Fracture Surface Area Based on Tracer and Temperature Histories2017

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Anna
    • 雑誌名

      Geothermal Resources Council Transactions

      巻: 41 ページ: 2865~2879

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of Numerical Methods for Estimating Fluid Flow Path in Fractured Geothermal Reservoir2018

    • 著者名/発表者名
      Ikhwanda Fuad、Suzuki Anna、Hashida Toshiyuki
    • 学会等名
      The 43rd Stanford Workshop on Geothermal Reservoir Engineering
    • 国際学会
  • [学会発表] Estimation of Fracture Surface Area based on Tracer and Temperature Histories2017

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Anna
    • 学会等名
      Geothermal Resources Council 2017 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] トレーサー・熱応答を用いたき裂表面積の推定2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木 杏奈
    • 学会等名
      日本地熱学会平成29年学術講演会

URL: 

公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-22  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi