研究課題/領域番号 |
17K19092
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
金子 雅紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (80633239)
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研究分担者 |
辻村 清也 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30362429)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | メタン生成 / 電気化学 / メタン生成補酵素 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はメタン菌の持つメタン生成補酵素を電気化学的に制御し触媒として用いることで、微生物の機能の一部を切り取り応用するというクリーンでグリーンな革新的バイオガス生産システムを創製することである。、究極的には「太陽エネルギーを化学エネルギー(メタン)へ変換する技術」の創出を目指す。本研究の成功は、従来のバイオガス生産方法に新たな変革をもたらし、持続可能な社会の実現に資すると期待できる。 平成30年度までの2年間の研究計画は、メタン生成補酵素の電気化学的活性化法の開発と電極電解セルを用いたメタン生成活性の定量的理解を行うことであった。それに対し、昨年度の実績を踏まえた当該年度の研究計画は、1)電極反応による補酵素活性化の最適化、2)多孔質炭素電極を用いた電気化学応答効率の向上を行うことであった。 当該年度では、電極反応の改良と、密閉セルの試作を行い、スケールアップした実験系におけるメタン生成実験を行った。その結果、メタン生成補酵素の電気化学的活性化によるメタンおよびエチレンの生成に成功した。 また、化学的に活性化したメタン生成補酵素を数種類の炭素基質と反応させたところ、全ての系でメタンの発生に成功した。これらの結果は現在、特許出願準備中であり、平成31年度中に特許出願および論文での公表を行う予定である。 平成31年度は上記の結果を踏まえ、メタンおよびエチレン発生メカニズムの解明と引き続き電極反応の最適化を行う。加えて、当初の予定であった炭素基質の探索を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度までの2年間の達成目標はメタン生成補酵素の電気化学的活性化法を確立することであり、そのために電気化学反応による補酵素活性化の最適化および多孔質炭素電極を用いた電気化学応答効率の向上を行うことであった。それに対し、当該年度は試作した反応セルおよびカーボンクロス電極による電解実験により、実際に電気化学的メタン生成に成功したため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、より高効率なシステムに改良していくとともに、補酵素が触媒可能な基質の多様性について研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は研究がスムーズに進展した結果、消耗品や試薬の購入機会が少なかった。また知財確保の必要性から、学会発表などを見送ったため、旅費の出費が少なかった。 次年度はメタン生成補酵素をより効率よく大量生成するために大量培養に用いる培養菌種を変更する予定であり、従来よりもより消耗品が増える計画である。また、次年度前期に特許出願予定であり、夏以降に国際学会および論文発表により成果を公表する予定である。これらの資金として有効に活用する計画である。
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