研究課題/領域番号 |
17K19093
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
有吉 慶介 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地震津波海域観測研究開発センター, 研究員 (20436075)
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研究分担者 |
脇田 昌英 国立研究開発法人海洋研究開発機構, むつ研究所, 技術研究員 (30415989)
美山 透 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 主任研究員 (80358770)
吉田 聡 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90392969)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 気象観測 / 海洋観測 / 海底地震津波観測 |
研究実績の概要 |
平成29年度の貫通観測に関して,観測準備として,気象センサーの防水防爆対策として既成のプラスチックケースからアルミケースへの差し替え,ソーラーパネルの独立固定方式への変更,表層連続観測用のドラム,UWTVへのCTD取付工具などを購入した.GNSS-Rの観測については,当初の計画には盛り込まれていなかったが,海面高度の精密観測をする上で必要なため,九州大学からの協力を得て実施することにした.
これらの観測機器を用いた他,GNSS-Rや表層連続観測装置などを借用手配することにより,地球深部探査船「ちきゅう」が清水港に停泊している期間を狙って,2017年11月30日~12月1日に気象センサー,海水の表層・鉛直のCTD装置,GNSS-Rの設置,2018年1月10日~12日に鉛直CTDと表層連続観測の電池交換を兼ねた動作確認,2018年2月27日に観測機器の撤収を行った.回収データを解析した結果,どのセンサーも,動作環境などで問題があったものの,きちんと設定すれば同時連続観測が出来ることを確認した.
これらの成果は, Ocean Sciences Meeting, Blue Earth Science Technology 等で発表した他,マサチューセッツ工科大学(MIT),カーネギー研究所,ハーバード大学,アメリカ海洋大気庁 (NOAA) などでもセミナーとして発表した.また,来年度に開催する国際学会(JpGU, AOGS) でもセッションを提案し,採択された.さらに,上記の学会の場を通じて,貫通観測に関して,国際学術誌での特集号も組まれることとなるなど,国内外での反響も得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気象センサーは,取り付けていたポールの溶接部分が強風によって倒立してしまうなどのトラブルも見られたが,全般的な時系列変動は3台とも同期しており,高層に設置したものほど気温・気圧が低くなる傾向があるなど,正常に観測されていることが確認できた.これより,「ちきゅう」船上での観測データ(位置,方位など)を併せて補正すれば,連続観測の記録を解析できる目途が立った.
海洋観測,海面高度観測については,タンク式による影響が懸念されていたが,2018年1月末~2月初めにかけて海水の水温・塩分・溶存酸素・クロロフィルが同時に変化していることが確認された.GNSS-Rについては,停電期間以降の記録が途絶えてしまったが,それ以外の期間では海面高度を推定できる目途が立った.
以上により,次回の掘削航海での同時連続観測の実施に向けて,順調に準備が進んでいること,また,本研究計画が,MIT, NOAA, カーネギー研究所など,米国研究機関からも高い関心が寄せられたことなどを鑑みて,順調に進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
ポールの倒立対策は,再度溶接で補強したことを確認してから,再度気象センサーを設置する.気象記録装置のハングアップ対策として,ファームウェアのアップデートに加え,最新のファームウェアでもハングアップすることがないか,発注業者と共に動作確認を行う.GNSS-Rの停電対策として,停電テストの実施予定日の事前把握や,高容量のUPSへの差し替えを検討する.これらの事前対策を 10月~翌年3月にかけての掘削航海(Expedition354) の前に実施する.
研究成果については,今年度のJpGU, AOGSなどで発表する他,国際学術誌の特集号などで論文としてもまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
防水防爆対策について,当初の計画よりも安価に実施することが出来たため. 次年度の同時連続観測に必要な消耗品(電池など)に充てる.
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