研究課題
平成29年度に実施した貫通観測では、気象センサーを地球深部探査船「ちきゅう」取り付けていたポールの溶接部分が破断した関係で、気象センサーのデータ転送ケーブルが損傷するアクシデントに見舞われた。さらに、回収した3台の気象データを確認したところ、途中でハングアウトして観測されていないことが判明した。そこで平成30年度では、IODP Expedition 358 において,同じ領域(孔内観測点C0002)で実施される長期掘削作業期間への適用に向けて、業者への依頼事項として、損傷したケーブルを修復することに加え、ハングアップ対策として10分毎に再起動するようにファームウェアをアップデートする対策を行った。また観測計画として、当初の計画には含まれていなかった、表層海水の蛍光光度およびpHの連続観測を新たに盛り込むことにした。上記の準備を整えた上で9月11日に「ちきゅう」が停泊している興津港にて観測機器の設置を行い、南海トラフにおける長期観測を開始した(2018/10/7~2019/03/21)。この期間中、東京大学による新青丸、三重大学による勢水丸も、DONET観測点周辺で気象ゾンデおよびCTD観測を実施し、時空間スケールの範囲を拡張させた。これらの成果について、日本地球惑星科学連合大会 (JpGU)およびアジアオセアニア地球科学連合大会(AOGS)にてセッションを設立した上で研究分担者および研究協力者と共に発表を行った。また、国際海洋工学会(Techno-Ocean 2018)でも口頭発表を行い、ワシントン大学との研究議論を行った。
2: おおむね順調に進展している
前年度の観測経験を活かし、トラブル対策を施した上で観測を開始出来たこと、観測チームが拡大しつつあり、大学の共同利用として応募するなど、コミュニティの観点からも順調であると判断した。
2019年4月上旬に観測機器を回収し、データ解析を行う。また、JpGUでのセッション開催も引き続き実施すると共に、2019年にサンフランシスコで開催されるAGU、2020年2月にサンディエゴで開催されるOcean Science Meetingなどの国際学会でも研究発表を行うと共に、国際学術誌の論文としてまとめる予定である。また、秋頃に研究集会を開催し、本研究終了後の研究計画について話し合うコミュニティを形成する。
宿泊費節約等で若干予算が余ったため、次年度の旅費に回すことにする。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Marine Geophysical Research
巻: 40 ページ: 453-466
10.1007/s11001-019-09380-y