研究課題
・STMを利用した測定方法の開発を進めた。これまでの方法では、電圧測定回路と電流測定回路を切り替えて熱電力を測定していたのに対し、電流(I)-電圧特(V)性を精密に測定し、温度勾配を加えた際にI=0となるVの値から熱電力が決定できた。この方法により、熱起電力と電気伝導度をほぼ同時に測定可能となり、測定の信頼性が向上した。・これまで継続して開発してきた熱電対組み込み型のMCBJ測定用基板の開発を進展させた。これまで、下層にポリイミド膜を用いていたが熱絶縁性が不十分であったため窒化シリコンの極薄膜上にデバイスを作製し、これまでの研究で作製ノウハウを蓄積した微小熱電対により温度差を測定できる素子を開発した。・これまで行ってきた直流による温度勾配測定法に加え、周期的に温度変化をさせた際の変化をロックイン検出する交流測定法を導入し、測定の精度を一桁以上向上させた。これにより、より低い温度差での測定が可能となった。金細線により試験的な測定を行なったところ十分な精度で熱伝導率を決定できた。・新たな測定サンプルの候補として、水銀イオンによって形成される人工DNAの測定に取り組み、DNAの構造が保たれる緩衝溶液中において、単分子接合の電気伝導度の測定に成功した。DNAに関する測定結果は報告があるが、水銀イオンの取り込みによる電子状態の変調を明らかにすることは、今後の分子エレクトロニクスや分子レベルで制御された材料設計の指針を得るために非常に興味深い。
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Nucleosides, Nucleoteides & Nucleic Acids
巻: 0 ページ: 0
10.1080/15257770.2020.1755044
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