クラスレートハイドレートは、氷とは若干異なる水素結合をした籠に、二酸化炭素やメタン分子が取り込まれた非化学量論的な結晶であり、低温で導入されるゲスト気体の分圧が高い場合により安定である。火星の大気の大部分は二酸化炭素であって、また圧力は1 KPa以下であり、生成の熱力学的条件や氷との平衡は温度と圧力に敏感である。低温下でハイドレートと平衡にある状態がドライアイスである場合には平衡に到達する時間が長いために、実験室における平衡と生成解離の実験は極めて困難である。そのために、広い圧力(化学ポテンシャル)範囲の二酸化炭素と平衡にあるメタンハイドレートの正確な相挙動の理論的予測が待望されてきた。
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