研究課題/領域番号 |
17K19110
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
平本 昌宏 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 教授 (20208854)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 有機太陽電池 / 超バルクヘテロ接合 / 交互積層接合 / 超高速移動度 / キャリア水平取り出し / 励起子収集 / キャリア収集 / ブレンド接合 |
研究実績の概要 |
本研究は、光生成キャリアを水平方向に取り出すことのできる交互積層接合によって、これまで有機太陽電池に必須とされてきたドナー性とアクセプター性の有機半導体分子のブレンド接合(超バルクヘテロ接合)を必要としない有機太陽電池を実現することを目標とする。今年度、ドナー性の超高速ホール移動度有機半導体 (C8-BTBT)と、アクセプター性の超高速電子移動度有機半導体(PTCDI-C8)を組み合わせた交互積層接合が、水平取り出し距離0.14ミリメーターというこれまでの有機半導体では考えられないマクロスコピックな距離であるにもかかわらず、太陽電池として動作することを確認できた。また、C8-BTBTとPTCDI-C8各層の膜厚を10 nmまで薄くすることで、光生成した励起子の75%および励起子解離によって生成したキャリアの93%を収集できることを確認した。励起子収集とキャリア収集の両立はこれまでバルクヘテロ接合でしかできなかったが、今回の水平交互積層接合でも可能であることが分かり、バルクヘテロ接合の代わりとなる新しい接合となることを実証でき、当初の研究目的を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
励起子収集とキャリア収集の両立はこれまでバルクヘテロ接合でしかできなかったが、今回の新しい接合コンセプトである、水平交互積層接合でも可能であることを実証でき、バルクヘテロ接合の代わりとなる新しい接合となることを示すことができたので、当初の研究目的を十分達成しているため。
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今後の研究の推進方策 |
励起子の収集とキャリアの水平方向取り出し収集を100%で行える、超バルクヘテロ接合の動作実証に成功し目標を達成した。今後、可視吸収のある多くの有機半導体の組み合わせに展開し、本方法の一般性を示すとともに、ドーピングによる低抵抗化効果とも組み合わせて、太陽電池として実用的な変換効率を達成して実用性を示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究目標を達成したが、可視吸収のある多くの有機半導体の組み合わせに展開し、本方法の一般性、実用性を一層示すための研究の実施が必要と判断し、次年度使用を行うこととした。次年度は、可視吸収のある多くの有機半導体の組み合わせに展開し、本方法の一般性を示すとともに、ドーピングによる低抵抗化効果とも組み合わせて、太陽電池として実用的な変換効率を達成して実用性を示す。
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