遷移金属錯体を用いてアルケンから触媒的にカルベン活性種を発生させる手法の開発を目的に、1)アルケンの求電子的活性化-1,2-転位を利用する方法、2)ヒドロメタル化-α水素脱離を利用する方法、3)C-H活性化によるアルケニル金属種の生成とそのβ位での求電子剤との反応による方法について検討を行った。さまざまな基質を設計・合成し、各種の遷移金属錯体を用いて反応の検討を行ったが、カルベン錯体の生成を示唆する結果は得られなかった。これらの検討の過程で、中心部位にカルベン部位を持つピンサー型イリジウム錯体が可逆的にアルケンと反応し、炭素鎖の延長したアルケンの配位した錯体が生成することを見いだした。
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