研究実績の概要 |
出発原料である2,3,5,6-tetramethylenebicyclo[2.2.1]heptane誘導体の高効率合成法について種々検討した。パラジウム触媒の量・反応温度・並びに反応させる一酸化炭素の濃度を検討することで、目的である2,3,5,6-tetramethylenebicyclo[2.2.1]heptane誘導体を4ステップ、5%程度の収率で得ることができた。一方で、最終目的物の簡易合成ルートとして7-(tert-butoxy)-2,3,5,6-tetramethylenebicyclo[2.2.1]heptane誘導体の合成を並行して行ったが、触媒等の検討の結果、上記と同様の手法では得ることができなかった。2,3,5,6-tetramethylenebicyclo[2.2.1]heptane誘導体を用いてマクロサイクルの合成を検討したが、GPCやMSスペクトルの検討の結果、目的とするマクロサイクルを得ることができず、ポリマーやオリゴマー体の生成が確認された。一方で、前年度の結果で得られたハロゲノアセン前駆体を用い、Bis(1,5-cyclooctadiene)nickelを触媒としカップリング反応を検討したところ、アセン前駆体の二量体の生成が見いだされた。この結果は本手法によりアセン前駆体多量体を合成すれば、環状構造が得られるので、今後は本手法を用いて環状マクロサイクル前駆体を合成し、目的となる環状アセン化合物の合成達成が期待できる。
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