研究課題
我々の身の回りで使用されている高分子材料は、軽量で、しなやかな性質を有しているため、様々な用途で用いられており、近年では軽量であることを活かして、自動車や航空機のボディーやガラスなどの代替材料としても広く使用されている。高分子材料は結晶性高分子と非晶性高分子に分類され、結晶性高分子は、硬さや柔さなどの指標である弾性率や気体透過性などの観点から、非晶性高分子では得られない様々な性質を有している。結晶性高分子の結晶形態の一つとして、希薄溶液から形成される単結晶がある。これまで、この単結晶の結晶構造に関して、乾燥状態の試料について評価されてきたが、溶液中のそれは異なる可能性があり、真の情報を得られていない可能性がある。このような背景をもとに、本研究では、溶液中および乾燥後の高密度ポリエチレン単結晶の結晶構造をX線回折法に基づき評価し、その相違を明らかにすることを目的とする。ポリエチレンをp-キシレンに溶解した後、所定の結晶化温度まで温度ジャンプして降下することで等温結晶化を行った。ポリエチレン単結晶の生成は、原子間力顕微鏡により確認した。得られたポリエチレン単結晶溶液の溶媒を一部除去して濃縮することで、広角X線回折用試料とした。参照用試料として、ろ過により乾燥したポリエチレン単結晶マットも調製した。q = 5~50 nm-1の領域で、両試料のWAXD測定を行った。得られたプロファイルを比較すると、乾燥に伴い、一部の結晶面の回折ピークが広角側にシフトすることが明らかになった。これより、乾燥過程でポリエチレン単結晶の結晶格子間隔は小さくなることが明らかとなった。これは、単結晶が溶液中で形成していた中空ピラミッドが平面状へ変形することと相関があると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
ACS Macro Letters
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