研究課題/領域番号 |
17K19142
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
國武 雅司 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (40205109)
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研究分担者 |
渡邉 智 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (80579839)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 電気化学 / マイクロエマルション / ゲル / 両連続相 / 抗酸化能 |
研究実績の概要 |
両連続相マイクロエマルションゲル中での電気化学によって、固体型電気化学分析システムの構築という目標に向かって、大きく前進した。水と油がミクロに共存した両連続相溶液において、水相のみをゲル化した両連続相ハイドロゲルを作成し、これを3電極がシート上に印刷されたプリント電極に貼り付けるだけで電気化学測定が可能であることを証明した。固体型であるにも関わらず、通常の拡散律速に相当する応答が得られた。特に水相のみをゲル化したことで、ミクロ油相での拡散は比較的自由度が高く、ほぼ溶液と変わらぬ感度を示した。一例として、ゲル膜上にオリーブオイルを垂らしてから電気化学測定することで、オリーブオイル中の抗酸化能を評価することに成功した。定量性もあることを確認した。これにより、両連続相マイクロエマルションゲルを利用した全固体型電気化学分析システムが十分に実用的にも利用できるものであることが証明できた。 フッ素化された炭素電極を用いて両連続相マイクロエマルションゲルのCV測定をすると、両連続相マイクロエマルションハイドロゲルにおいてもトルエン相に抽出されたフェロセンの酸化還元ピークのみが明瞭に観察され、水相中の酸化還元物質のピークは現れなかった。両連続相マイクロエマルションゲルでも、両連続相マイクロエマルション溶液と同様な選択性を発現できることを確認した。試料溶液を垂らすだけで、分配抽出が起こり、そのまま親水性レドックスと親油性レドックスを個別に分析できるシステムへ繋がりうることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画外の新たな進展として、新たな両連続相マイクロエマルション系の構築がある。 従来、油相としてトルエンを主に使っていたが、環境的には好ましくないとされていた。そこで、油相をヘプタンに変えた系を探査し、両連続相形成条件を明らかにするとともに、トルエン系と同様の親水性、親油性電極による選択性を発現できることを明らかにした。これによりさらに実用性を高めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
両連続相マイクロエマルションゲルを用いた固体型電気化学システムの構築し、実証するということはほぼ達成した。選択性の高い電極をどのように、フィルム電極上に実現するかという課題と、フィッルム電極上の両連続相マイクロエマルションゲルフィルムをどこまで薄膜化できるかを検討する。
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