研究実績の概要 |
本申請課題は、多彩なヒストンの化学修飾を生体分子間相互作用として解析するため、有機薄膜FETデバイスの開発を行いエピジェネティクスセンサとして分子生物学や疾病診断、発症・進行予測ツールとしての可能性を見出すことである。抗ヒストン抗体による免疫化学的なアプローチに基づく各種ヒストン修飾の解析を行うためのFETデバイスの開発に取りかかった。一般的に有機トランジスタは水の影響を受けやすく、水中でのセンシングが必須となるバイオセンサ応用では抗原抗体反応部位に工夫が必要となる。そこで、水溶液中での生体分子間相互作用においても安定に信号を取得可能な延長ゲート型電極構造を採用することとした。加えて、無機FETトランジスタも同時にセットアップを行っている。これは、作成したデバイスの動作確認と有機FETの特性比較のためである。 抗体を固定化した有機FETが測定対象となるヒストンを捕捉した場合、しきい値電圧やドレイン電流値の変化するため、これらのパラメータを使ってヒストン捕捉量を測定することが可能であると考えている。これらの測定対象となるヒストンの修飾状況を調査し、当該研究に用いることが出来そうな抗体の選定を行い、H3K4me1~3, H3K9ac, H3K9me2~3, H3K14ac, H3K27ac, H3K27me1, H3K27me3, H3S10ph, H3S28phを用いることとした。加えて、実験に用いる各種ガン細胞の培養を開始した。さらに培地中成分の多変量解析として、タンパク質の定性ならびに半定量実験をおこない、ヒストン修飾への足がかりとした。
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