プラスチック製品を加熱すると柔らかくなるように,一般的に高分子材料は低温で硬く(ガラス状態),高温で柔らかく(ゴム状態)なる。この一般的な高分子とは逆に低温で柔らかく,高温で硬くなる高分子ゲルを世界で初めて創製した。本高分子ゲルは,食品添加物にも使用されるような汎用性のある安価で無毒な原料から簡単に作製でき,室温付近の比較的低い温度では柔らかく伸びやすいが,ある温度以上で急激に硬くなる。この現象は、高分子の温度応答性相分離を利用している。これまでのゲルの相分離は、構造をガラス化するほど強くはなかった。好熱菌のタンパク質が高温でも安定化している機構を導入することで、極めて強い相分離を達成した。
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