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架橋フォトクロミック液晶高分子は，光照射により伸縮・屈曲・回転などの様々な変形・運動を示すため，ソフトアクチュエーターとしての応用が期待されている。しかし架橋高分子は本質的に不溶・不融であるため，一度ネットワーク構造が形成されるとその後の成形加工は困難であった。これまでの研究において，側鎖型架橋液晶高分子の架橋部位に動的共有結合を導入することにより，架橋の組替えによる再成形を可能にした。本研究は，架橋の組替えの原理を用いてメソゲンの任意配向と成形性向上を実現することを目的とした。
側鎖にアゾベンゼンを有する架橋液晶高分子について，光配向と架橋構造との関連を詳細に評価した。リニアポリマーは直線偏光照射により配向制御が可能であるのに対し，架橋高分子では光配向が誘起されなかった。これは架橋高分子においてはネットワーク形成時のメソゲンの配向が記憶されるためである。側鎖に動的共有結合を導入したフィルムについて同様の実験を行ったところ，液晶相において光配向が誘起された。続いて等方相において加熱することにより配向がランダムになった。このように，動的共有結合フィルムにおいては架橋の組替えに伴う配向の書き換えが可能であることが分かった。さらに，フォトマスクを用いた直線偏光照射により配向をパターニングすることに成功した。また，主鎖に動的共有結合を含む架橋液晶高分子の構造を検討した。架橋密度を変化させることにより加熱下における成形性や弾性率を制御することができた。これらの光配向および成形手法の開拓により，高分子光アクチュエーターの形状・運動の多様な設計が可能になった。
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