研究課題/領域番号 |
17K19183
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
辰巳砂 昌弘 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50137238)
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研究分担者 |
林 晃敏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10364027)
作田 敦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30635321)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | ヘテロ界面 / 固体電解質 / 全固体電池 / ナトリウム / リチウム |
研究実績の概要 |
リチウム、ナトリウム、銀など異種のイオン伝導体を組み合わせることで実現する新奇現象を発見し、新奇な全固体電池のコンセプトを提案・実証することを本研究の目的とする。 1.デュアルイオン伝導性固体電解質の開発 ガラス系固体電解質においては、異種カチオンが混在することで、イオン伝導性が低下する混合カチオン効果が知られているが、本研究では、結晶性材料において二種類のイオンが伝導する固体電解質や電極活物質を開発することで、新奇な機構の二次電池の創出を目指した。代表的なNaイオン伝導体であるNa3PS4とLiイオン伝導体であるLi3PS4の中間の物質をメカノケミカル合成法によって探索した。Li2NaPS4組成において、新規な結晶構造を有する物質を見出した。結晶構造解析の結果、得られたLi2NaPS4はNa3PS4と同様のPS4^3-イオンの配置を有していることが分かった。 2.金属-固体電解質界面の研究 Naイオン伝導性固体電解質Na2S-P2S5系固体電解質と金属Naの界面が高抵抗化する課題がある。本研究においては、同様の組成を有するLiイオン伝導性固体電解質と金属Naの界面抵抗について評価した。Liイオン伝導性固体電解質を用いた場合、Naイオン伝導性固体電解質を用いた場合と比べて界面抵抗が小さくなることが分かった。Liイオン伝導性固体電解質を用いた場合も、Naの溶解/析出に相当する電位での充放電が確認され、全固体電池において異種イオンが共存した電極反応が生じうることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Na/Li3PS4-LiI/Li-Inセルにおいて、抵抗の低減と可逆充放電を確認した。これは、NaイオンとLiイオンが共存する系においても二次電池を構築することができることを示す成果である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の検討で、NaイオンとLiイオンが共存する二次電池が構築可能であることを明らかにした。 次年度では、Na含有電極活物質とLiイオン伝導性固体電解質を用いた新奇な構成の全固体電池「全固体デュアルイオン二次電池」を作製し、その作動特性を検討することで、新奇な全固体電池のコンセプトを実証する。 Liイオンとナトリウムイオンの役割を明らかにすることが重要であるため、断面SEM観察やイオン分析を用いて、充放電前後のLiイオンやNaイオンの分布を調べ、電極に挿入脱離しているイオン種の特定や、LiイオンとNaイオンのそれぞれが長距離伝導しているかどうかなど、これまで全く知見のない現象について調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表先の変更の必要が生じたため、旅費として計上していたものが次年度繰り越しとなった。備品として購入したクイックコーターが見積もり時よりも安価で入手できた。 次年度の物品費、旅費として計上し、計画通り使用予定である。
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