研究課題
頭部置換スフィンゴシン誘導体の生理活性への影響を検証した。ターゲット酵素は、スフィンゴミエリン合成酵素(SMS)を選択した。本酵素は、セラミドをスフィンゴミエリンに変換する酵素であり、その阻害は、メタボリックシンドロームやアルツハイマー型認知症に有効である。これまでの知見を参考に、3位の水酸基はメチル基で保護した。また、アシル基としては活性が期待されるニトロフェニルフラン誘導体を選んだ。L-セリン、アラニン、システイン、ロイシン、フェニルアラニンを頭部に有し、3位の水酸基をメチルエーテルとしたスフィンゴシン誘導体を合成、既に、構築しているSMS阻害アッセイシステムに供した。アミノ基がフリーであるこれらのタイプは、中程度の阻害能を示したが、頭部の置換による効果はあまり大きなものではなかった。次に、ニトロフェニルフラン誘導体をアミド結合により導入し、同様なアッセイを実施した。システイン及びアラニンのセラミド誘導体は比較的高い活性を示したが、ロイシン、フェニルアラニンから合成したセラミド類は活性を示さなかった。スフィンゴシンの頭部、L-セリンは、生合成の最初の段階で、セリンパルミトイル転移酵素(SPT)に取り込まれ、パルミトイルCoAと結合し、L-3-ケトデヒドロスフィンガニン(L-KDS)を生成する。近年、L-セリンのみならず、その鏡像体であるD-セリンが取り込まれることが報告されているが、KDSの立体化学研究は行われていない。そこで、L-KDSに対応するD-KDSを化学合成により調整し、キラルカラムによる微量立体化学解析法の確立を行った。共同研究により、本SPTにL-及びD-セリンを取り込ませ、それぞれのKDSの立体化学を分析した。その結果、L-及びD-のいずれを取り込ませた場合においても、生成するKDSはラセミ体であることが判明した。
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