研究課題/領域番号 |
17K19195
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西川 俊夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90208158)
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研究分担者 |
阿部 秀樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (90396804)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 天然物 / フグ毒 / テトロドトキシン / 誘引活性 / 電気生理学的手法 / EOG応答 |
研究実績の概要 |
テトロドトキシン(TTX)は、フグ中毒の原因物質として知られる有名な海産天然物である。本化合物が強力な毒性を示す事から、フグはこれを防御物質として利用していると考えられている。一方で、フグはTTXに誘引されるという興味深い報告がなされてきた。そこで、本研究では、TTXによるフグ誘引の分子機構を明らかにするために、1)化学合成によって合成したTTXとその誘導体を使ってフグの嗅上皮応答(EOG応答)を示す物質を特定する、2)行動実験によって実際にフグを誘引するか確認する、3)フグによるTTX関連物質の分子機構を明らかにする、ことを目的としている。 初年度はTTXアナログを合成した。合成したアナログは以下の6種類である。Anhydro-trideoxyTTX,4-epi-trideoxyTTX, 5-deoxyTTX、anhydro-5-deoxyTTX, 5,6-dideoxyTTX, anhydro-5,6-dideoxyTTXを合成した。しかし、これらを使ったEOG実験は、フグのEGO応答を測定する実験技術の習得に時間がかかり、まだ行っていない。一方、予備実験でEOG応答を示したtrideoxyTTXを使って、様々な方法で行動実験を試みたが、クサフグの個体が大きく、また周囲のわずかな環境変化に敏感などの原因で、これまでのところ成功していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TTX類縁体の化学合成は順調である。しかし、EOG応答が再現性よく測定できていないことが、やや遅れている一因である。また、クサフグを使った行動実験もうまくいっておらず、研究が若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
11-deoxyTTX, 6,11-dideoxyTTX, 11-nor-TTX-6(S)olなどのTTXアナログの化学合成を続行する。EOG測定が困難な場合、嗅受容細胞におけるCaイメージングなどの利用を考える。行動実験に関しては、ミドリフグなどの個体サイズの小さいフグを使って実験する方向に切り替えたい。その場合、ミドリフグのEOG応答も測定する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
クサフグの EOG応答が測定できる状態になっていてないため、TTXアナログを使った一連の活性測定の実験が行えなかった。次年度は、小型のミドリフグを使って実験する。次年度使用額は、そのための購入費用の一部に充てる。
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