• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

Rheo-NMRによるアミロイド線維化機構の解明と新規Rheo-NMR装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K19196
研究機関京都大学

研究代表者

菅瀬 謙治  京都大学, 工学研究科, 准教授 (00300822)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワードNMR / レオロジー / タンパク質 / アミロイド線維
研究実績の概要

今年度は、αシヌクレインのリアルタイムRheo-NMR測定、SOD1のリアルタイムRheo-NMR測定、剪断力存在下におけるダイユビキチンのダイナミクス解析を行った。αシヌクレインのリアルタイムRheo-NMR測定では、これまでヘキサユビキチンとSOD1の場合では観測できなかったラグタイムが見られ、シグモイド関数様に減少した。SOD1のリアルタイムRheo-NMR測定では、NMRシグナル減衰曲線に対して指数関数でフィッティングを試みたところ、フィットせず、シグナル強度の減衰速度が時間経過とともに速くなっていることが分かった。15N横緩和速度R2も剪断力をかけている時間経過とともに速くなることが分かった。加えて、Rheo-NMR測定後の試料を動的光散乱で計測したところ、分子量の大きいオリゴマーが検出された。このオリゴマーのNMRシグナルは、リアルタイムRheo-NMRでは観測できなかったが、それはオリゴマーの分子量が大きすぎるためであると考えられる。一般にR2は分子間相互作用があると速くなることから、SOD1は線維化過程においてオリゴマーと相互作用することが示唆された。
ダイユビキチンのダイナミクス解析では、K48架橋型ダイユビキチンのピコ秒-ナノ秒およびマイクロ秒の運動性の解析を静置状態と撹拌状態で行った。その結果、両タイムスケールともdistal側のユビキチンユニットだけにダイナミクスの変化が見られた。とくにイソペプチド結合を形成するdistal側のC末端領域に大きな変化が見られた。
また、モーター駆動式のRheo-NMR二号機の開発を進め、まずはNMRマグネットの外で同様な機構で剪断力をかけられるコエットセルを完成させた。このコエットセルのモーター部分と5mmφNMR管と3mmφガラス棒を固定する部品は、製作中のRheo-NMR2号機二全く同じものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

Rheo-NMR二号機の開発がとくに計画以上に進んでいる。コエットセルのモーター部分と5mmφNMR管と3mmφガラス棒を固定する部品は、製作中のRheo-NMR2号機と全く同じものであるため、あとはモーターと3mmφガラス棒を繋ぐドライブシャフト、およびモーターをNMRマグネット直上に固定する部品を作ればRheo-NMR2号機が完成する予定である。

今後の研究の推進方策

現在、リアルタイムRheo-NMR実験から、αシヌクレインの場合はシグモイド曲線様の強度変化のプロファイルを、SOD1の場合は指数関数様のプロファイルを得ている。両者ともに速度論的なモデルを構築し、フィッティングを行う。
また【現在までの進捗状況】で記述したように、Rheo-NMR2号機を完成させる。

次年度使用額が生じた理由

計画していた装置開発にかかる費用が安く済んだ。この次年度使用額は本年度の装置開発の費用に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Leibniz Institute for Polymer Research(Germany)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Leibniz Institute for Polymer Research
  • [雑誌論文] Real-time observation of the interaction between thioflavin T and an amyloid protein by using high-sensitivity Rheo-NMR.2017

    • 著者名/発表者名
      Iwakawa N., Morimoto D., Walinda E., Kawata Y., Shirakawa M., Sugase K.
    • 雑誌名

      Int. J. Mol. Sci.

      巻: 18 ページ: E2271

    • DOI

      10.3390/ijms18112271.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] High-sensitivity Rheo-NMR spectroscopy for protein studies.2017

    • 著者名/発表者名
      Morimoto D., Walinda E., Iwakawa N., Nishizawa M., Kawata Y., Yamamoto A., Shirakawa M., Scheler U., Sugase K.
    • 雑誌名

      Anal. Chem.

      巻: 89 ページ: 7286-7290

    • DOI

      10.1021/acs.analchem.7b01816

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] High-sensitivity Rheo-NMR spectroscopy for protein studies.2017

    • 著者名/発表者名
      Sugase K
    • 学会等名
      ISMAR 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] High-sensitivity Rheo-NMR spectroscopy for protein studies.2017

    • 著者名/発表者名
      Sugase K
    • 学会等名
      JGP-Chem Kyoto-Bordeaux Faculty & Student Research Workshop on Chiral Nanostructures for Photonic Applications
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] Research Highlights

    • URL

      http://www.moleng.kyoto-u.ac.jp/~moleng_01/research.html

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi