本研究では、がん細胞やウイルス、原虫に対して、ヒト体内に大量に存在する自然抗体を利用し、強力な免疫応答反応を引き起こす新しい免疫療法の開発を目指した。自然抗体としては、α-gal糖鎖を抗原とする抗α-Gal抗体を選んだ。α-galは、多くの哺乳類で広く発現しているものの、ヒトはこの糖鎖を持たない。その代わりにヒトは大量の抗α-Gal抗体を持ち、抗α-Gal抗体とα-galエピトープの免疫反応に起因する超急性拒絶反応を引き起こす。そこで、α-galエピトープをがん抗体と複合化し、がん抗体特異的に免疫反応を誘起した。このα-gal-がん抗体複合体の細胞障害活性はα-gal導入量依存的に向上した。
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