研究課題/領域番号 |
17K19206
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
禾 晃和 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 准教授 (40379102)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 1回膜貫通型受容体 / 半合成 / 受容体活性化機構 |
研究実績の概要 |
本研究では、細胞増殖やがん化に関わる1回膜貫通型の細胞表面受容体である、上皮成長因子受容体(Epidermal growth factor receptor; EGFR)の活性化機構を解明するために、細胞外領域断片に対して、標識を導入した膜貫通ペプチドをライゲーションする実験系の構築に取り組んだ。初年度に確立した浮遊系の動物細胞を用いた発現系によって、EGFRの細胞外領域断片を発現させた。そして、PAタグシステムと呼ばれる研究代表者らが独自に開発したアフィニティー精製システムを用いて、培養上清から目的のEGFRの細胞外領域断片の精製を行った。当初の計画では、多数のジスルフィド結合を有するEGFRの細胞外領域を変性させないために、還元剤を加えない条件での反応系の構築を目指していた。しかしながら、初年度の研究から還元剤を全く加えない条件では、ライゲーション反応がほとんど進行しないことが分かったことから、還元剤の種類の検討や添加量の最適化も行った。また、質量分析によって、ライゲーション反応が起きたかどうかを検証する実験にも着手した。さらに、可溶性のモデルペプチドで検討した反応条件を応用し、バイセルに再構成した膜貫通ペプチドとのライゲーションも試みた。 また、これまではEGFRをモデルタンパク質として用いていたが、研究代表者がこれまで構造機能解析に取り組んできた、神経発生に関わる細胞表面受容体についてもライゲーション反応のターゲットとして用いる検討に入った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルペプチドとの反応条件の最適化は進んだが、最終目的である膜貫通ペプチドとの反応条件の最適化にはさらなる検討が必要であることから。
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今後の研究の推進方策 |
質量分析を用いてライゲーション反応が正常に起きているかどうかを検証する実験では、反応産物を効率的にイオン化させるために、試料調製法を検討していく。膜貫通ペプチドとのライゲーションについては、バイセルだけでなく、ナノディスクの利用なども視野に入れて、膜への再構成条件や反応条件の検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進める上で必要不可欠なペプチドの供給に問題が生じたため、研究計画の変更を余儀なくされた。しかしながら、その後の研究は進展しており、引き続き、反応条件の最適化を進めるとともに、学会等で成果発表を行うために次年度使用額が生じることとなった。
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