研究課題
超高齢化社会である我が国では医療・介護費の膨大化が問題である。加齢に伴う筋量と筋力低下(サルコペニア)は呼ばれており、寝たきり・要介護状態の原因である。以上の背景から、このため、高齢者のサルコペニアを予防・軽減し、医療・介護費の膨大化をいかに防ぐかが喫緊の課題である。高強度の筋運動(レジスタンス運動)によりサルコペニアは予防可能である。しかし、高齢者がレジスタンス運動を継続することは容易ではないため、効果的な筋増強法の提唱が重要である。過度な酸化ストレスは筋萎縮を惹起する。一方で、筋収縮により軽度の酸化ストレスが発生することが知られており、筋肥大に寄与することが知られている。しかし筋肥大における酸化ストレスの作用機序は不明な点が多い。本研究では電気パルス刺激による培養細胞を用いた筋収縮実験法により、筋収縮-酸化ストレス経路による酸化修飾を受け、筋肥大効果を有する筋収縮センサータンパク質の同定、及びその機能解明を目指している。昨年度まで実施した実験結果から、目的遺伝子の強制発現による筋肥大効果が認めれなかったため本年度はsiRNAを用いたノックダウン実験を行った。以前に構築したエレクトロポレーション法を用いてマウス骨格筋へのsiRNAの遺伝子導入を試みた。骨格筋の遺伝子発現解析を行った結果、目的遺伝子の十分なノックダウンが認められなかった。コントロール遺伝子のsiRNAを含め複数の方法でノックダウンを試みたがいずれも十分なノックダウン効果が確認できなかった。このことから、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた新たな遺伝子導入法の構築を進めている。プラスミドを用いた強制発現実験についても、AAV法に切り替え、再度実験を進めている。
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