研究課題/領域番号 |
17K19240
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 克周 広島大学, 理学研究科, 教授 (50221320)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | Agrobacterium / DNA輸送 / 酵母 / 細菌 / プラスミド / 接合伝達 / 遺伝子組換 |
研究実績の概要 |
アグロバクテリアを用いる植物の遺伝子導入法の適用範囲は拡張されて、酵母・動物細胞・藻類や各種の菌類などにも及ぶ。この方法は、様々な生物種に適用できる利点に加えて、長いDNAを注入し核DNAに着実に組み込めるという点でも全ての遺伝子導入技術の中で際立っている。長大なDNAを容易に高い頻度で受け取る能力が示されているのはいくつかのグラム陽性菌である。両者の細菌の特徴を組合せ連携使用することができれば、多くの生物へ自在に長いDNAを伝達することが可能になると期待される。本研究では、グラム陽性菌の広域伝達性接合プラスミドとアグロバクテリアのT-DNA輸送で可動なプラスミドを様々に組合せてモデル生物への伝達を実施する。Agrobacteriumからプラスミド全体を伝達するためのプラスミド(モデルT-DNAプラスミド)を作成した。酵母菌、大腸菌およびAgrobacteriumへ輸送を試み、いずれも成功した。T-DNAに結合してDNA伝達を先導すると共に相手細胞内ではDNA末端を結合するVirD2タンパク質と同様な機能をもつMobタンパク質と比較対照する分析の結果、両者がそれぞれ効率的に形質転換する受容菌の種類が異なること、受容大腸菌がAgrobacteriumからモデルT-DNAプラスミドを効率的に受容するにはrecA遺伝子が正常に機能していることが重要であること等が明らかになった。一方、広域伝達性接合プラスミドpIP501のグラム陽性菌から陰性菌への伝達実験を実施したが結果が不安定であった。効率と品質を向上させるため、pIP501接合伝達機能で輸送可能であり、より小型な伝達性(Mobilizable)プラスミドの加工を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
グラム陽性菌接合プラスミドのグラム陰性菌への伝達は安定的な結果が得られなかった。接合プラスミド自体の伝達を検出する代わりに、より小型の伝達性(Mobilizable)プラスミドを同じ供与菌に持たせて後者の伝達を行なわせることで効率と品質を向上させる。
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今後の研究の推進方策 |
接合プラスミドのグラム陰性菌への伝達は安定的な結果が得られなかった件については、接合プラスミド自体の伝達を検出する代わりに、より小型の伝達性(Mobilizable)プラスミドを同じ供与菌に持たせて後者の伝達を行なわせることで効率と品質を向上させる。モデルT-DNAプラスミドおよび新規プラスミドを含めて汎用的にも活用できるように加工する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の謝金等支出の一部が翌年払いになるため
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