研究課題
多様な哺乳類と共生するビフィズス菌ゲノムの幅広さを解析するために、食生活が大きく異なる動物から新規のビフィズス菌同定を、ボローニャ大学のマタレッリ (P. Mattarelli, M. Modesto) グループと共同でおこなった。果実食のエジプトルーセットオオコウモリ (Rousettus aegyptiacus) 、草食のゲラダヒヒ (Theropithecus gelada) 、雑食のマーモセット (Callithrix jacchus) などから新規株の検出をおこない、それぞれ Bifidobacterium rousetti と B. vespertilionis, Alloscardovia theropitheci, B. jacchi と名付けた新種を報告した。(コウモリからは2種を新規同定した。)これらのビフィズス菌類が様々な生物特異的に共生できるメカニズムを調べるため、多様な生物と共生できる株と比較しつつ糖代謝遺伝子の全ゲノム解析を実施した。とりわけ植物由来の多糖類や母乳中のオリゴ糖との関係を調査し,5単糖やシアル酸代謝との関連を見出した。結果として、ビフィズス菌類は動物の系統分類よりも食事の分類により近い糖質加水分解酵素、糖転移酵素の遺伝子集合を有することを見出した。またこうした糖関連酵素群のなかで基準ゲノムとしてすべてに保持されるものが非常に少ないことも明らかにした。また乳酸菌属における遺伝子水平伝搬(HGT)の概要を調査し、HGT候補となる遺伝子の探索パイプラインを構築している。
1: 当初の計画以上に進展している
多くの新規ビフィズス菌類を同定することができた。また食事と腸内細菌の関係を明らかにするのに十分なデータを取得できた。
食事と腸内細菌の関係について論文化する。ボローニャ大学とは学生および教員の交流を実施する予定であったが、コロナウィルス対応のために中止せざるを得ない。ビデオ会議は可能だが、次世代の研究者養成という視点ではマイナスのため、代替案を考える必要がある。
コロナウィルスのため、年度末に計画していたヨーロッパにおけるワークシップ参加が中止されたため。新たなワークショップがあればその参加費とするか、TV会議等の代替計画をたてるかは現在未定。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
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