研究実績の概要 |
当初計画では,ジベレリン生合成に関与するent-coparyl diphosphate synthase 1(CPS1)とGA20 oxidase (sd1)をターゲットとした変異導入をCas9遺伝子及び gRNA遺伝子を金粒子にコートし,iPB法によりコムギ茎頂に導入する予定であった.しかし,他のプロジェクトにおける研究進展から,金粒子を用いてRNPを直接茎頂組織に導入する手法が確立されたので,今年度は,次年度以降に検討する予定であった,RNP直接導入による変異創出を前倒しで行った.まず,コムギsd1遺伝子配列からターゲット配列をCRISPRdirectソフトウエアを利用してデザインした.gRNAはin vitro転写により合成し,大腸菌から精製されたCas9タンパク質と共に,金粒子に吸着させ,パーティクルガンにより茎頂組織に導入した.金粒子導入胚より植物体を成長させ,T0個体の止葉においてゲノムDNAを抽出し,CAPS解析を行った.これまでにボンバードメントを行った143胚あたり,8個体(6%)において変異が検出された.塩基配列解析から,これらのうち1個体においては,A,B,Dゲノム全てのsd1遺伝子において,変異が導入されていることが明らかとなった.CPS1遺伝子についてもsd1遺伝子同様の手法で変異導入を試みたが,A,B,D全てのゲノムに変異が検出されるような個体は得られなかった.
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