研究実績の概要 |
本研究では,mitoTALENを導入して二本鎖切断を起こさせ,再分化してきた系統についてミトコンドリアゲノムの変化を調査する.また,mitoTALENを用いて二本鎖切断を導入したカルスに,切断箇所周辺領域と相同な配列に挟まれたgfp遺伝子を持つプラスミドをパーティクルガンで撃ち込むことにより,gfp遺伝子がミトコンドリアゲノムに挿入されるかどうかを調査する. 今年度は,新規ミトコンドリアゲノムタイプのランダムな創出を目指して,ミトコンドリアゲノムにコードされるorf288をターゲットとしたmitoTALENコンストラクトの構築を行った.日本晴ミトコンドリアゲノムに存在するorf288の配列に誤りがあるとの報告がなされたので、その確認を行った.この結果,288アミノ酸をコードすると予測されるorfが314アミノ酸をコードするorf314であることが分かった.このため,orf314をターゲットとするmitoTALENコンストラクトを台中65号に遺伝子導入した.この結果,cTAL16を導入した台中65号を8系統得ることができた.得られた系統においてorf314の存在の有無を確認したところ,1系統でorf314が増幅できないことが分かった.一方,種子稔性を確認したところ,すべての系統において,orf314の有無にかかわらず稔性があることが分かった. 相同組換えを利用したgfp遺伝子の挿入実験に関しては, BT型CMSイネのCMS原因遺伝子候補であるorf79をターゲットとするmitoTALENをアグロバクテリウム法で導入したカルスへ,orf79の5’上流および3’下流のそれぞれ2 kbを含み,orf79がgfpと置換されたドナーベクターをパーティクルガンで撃ち込んだ.再分化した個体について,gfp遺伝子の存在をPCRで確認したが,DNA断片が増幅された個体は得ることができなかった.
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