研究実績の概要 |
ブロッコリとコールラビのF1にコールラビを戻し交雑して作成したBC1集団を用いて,5つの茎肥大制御に関与するQTLを同定した。さらに,コールラビを戻し交雑して作成したBC2S1の中から,4つの茎肥大制御QTL(REnBo1, REnBo3, REnBo4, REnBo5)がコールラビホモ型で、REnBo2の遺伝子型のみヘテロの個体を自殖し、BC2S2を作成した。BC2S2の中からREnBo2-QTLの両端のDNAマーカーを用いて組換えが見られた158個体を選抜し,QTL内の11個のDNAマーカーを用いて連鎖地図を作成すると同時に,表現型として,茎の高さ、直径、目視で茎肥大を等級化したindexを計測した。QTL解析の結果,Bol012974、Bol017480間、茎肥大indexでLOD値4.8の有意なLODピークを検出した。連鎖地図上では10.7cM,物理距離で0.73Mbpの範囲に,REnBo2-QTLに関与する候補遺伝子領域を絞り込むことができた。この領域に座乗する遺伝子83個の内,ブロッコリとコールラビのRNA-seqでDEGsとして同定できた遺伝子は12個あり,そのうち、Bol012971とBol012972がオーキシンに関わる遺伝子であることが分かった。 発芽後10,15,20,25,30日のブロッコリとコールラビの実生の植物ホルモン濃度を測定したところ,IAAとIAAspの両方の濃度は、ブロッコリーと比較してコールラビの茎で低かった。コールラビの茎では, 活性型のGA4を検出できなかったが、ブロッコリーでは、10-30日の実生でGA4で検出され、測定した期間で大きな変化なかった。サイトカイニン類は,コールラビの茎でブロッコリーに比べ高濃度で含まれていた。これらのことから,コールラビの茎肥大に内生の植物ホルモン濃度が重要な役割を果たしていると考えられた。
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