研究課題
絶対寄生菌であるコムギうどんこ病菌とその宿主植物であるパンコムギの相互作用における物質動態の研究では、RIイメージング技術を用いて寄生菌から宿主へ、宿主から寄生菌への物質移行を可視化することができた。放射性同位体32Pと14Cが、宿主植物からコムギうどんこ病菌に移行し、最終的に分生子に蓄積することを確認した。14Cは、14CO2を用いており、光合成の同化産物をコムギうどんこ病菌を利用していることを示している。更に32Pを含んだ分生子をを第1葉に接種したところ、接種葉以外の植物部位に32Pが移行した。このことは、未知の機構を介して病原菌由来の物質が植物体内を吸収され、移動することを示唆する。また、宿主植物とコムギうどんこ病菌の糖のやり取りに関与する糖トランスポーターの遺伝子発現変化を明らかにした。また、イネといもち病菌の相互作用の研究では、pi21の放射性同位元素の窒素の取り込み実験を行ったところ、pi21抵抗性の有無の植物に対しいもち病を接種して、同位元素の窒素を投与すると、罹病性品種で移行が弱く、抵抗性品種で著しく移行活性が上昇ことを確認した。また、イネの多品種のいもち病病斑における、金属含有量を測定すると、ホウ酸の値が著しく高かった。そこで、ホウ酸トランスポーターの変異株を用いて、いもち病検定を行った。その結果、特定のホウ酸トランスポーターの変異株において、野生株よりいもち病抵抗性の低下が見られた。いもち病抵抗性を付与するために、イネはホウ酸を利用している可能性があり、現在詳細に解析を進めている。
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Japan Agricultural Research Quarterly
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The Plant Journal
巻: 96 ページ: 1137~1147
doi.org/10.1111/tpj.14093